旅団の仕事があると数名の団員が集められた広間で、私は自分が好奇の視線に晒されているのが分かった。 「フ.......フェイタン」 「何ね」 「.....近くない?」 私を片膝に乗せてお腹に腕を回したフェイタン。 近い。これは誰がどう見ても近い。 ちょうど耳元で、高くも低くもないフェイタンの声が鼓膜を揺らした。 「お前ほとくとすぐ面倒起こすね。首輪とどちがいいか」 「どちらにしても人目が気になるよ」 「阿呆が。ワタシだけ見てればいいね」 言われた通り肩越しに微かに振り返るとフェイタンと目が合った。ばくん。ばくん。かわいそうな私の心臓が震える。 「.........ふしだらだ!!!!」 「うわ!ビックリした!!」「.....何ね。ノブナガ」 気がつくと目の前に般若顔のノブナガがいた。 「おめーらついこの前までハラハラわくわく青春ごっこしてたかと思やァ、突然こんなくっつくき方しやがって!」 「え、な、何で怒ってるの...?」 「こっちはな、八割オッサンなんだよ!スピード感についていけねェ。もっとオーディエンスに寄り添った恋愛をしてくれ」 「オーディエンスに寄り添った恋愛とは!?」 「うるさいね、ノブナガ。こちは遅すぎるくらいよ」 まあたしかにねー、と笑いながらシャルが入ってくる。 「フェイタンにしては手出すまで時間かかってたよね」 「人聞き悪い言い方よすね」 「なおまだ手は出されていない。ぐえっ」 フェイタンの膝元から引っ張りだされた私は、女子チームの群れに担ぎ込まれた。 そっと遠巻きに見守るスタイルはノブナガを皮切りに終わったようだ。 「ねえ、アタシ報告まだ受けてないけど」 とマチ。 「フェイタンと付き合った経緯を話しなさい。頭から終わりまで全部よ」 とパクノダ。 「残念◆これでまた君に近付きにくくなったじゃないか」 なにやら嬉しそうなヒソカさんはマチに蹴っ飛ばされていなくなった。 「ねえ。何でフェイタンにしたの?フィンクス派って言ってたのに」 とシズク。 なんだか皆JKみたいだ。 私はひとつずつ答えることにした。 「ごめんねマチ。付き合うとかそういうのは分からないけど、私、フェイタンを好きだったみたい。」 そんなのみんな知ってたよ。 けど、よかったね。とマチ。 「あのね、パク。フィンクスが荒治療で気付かせてくれたの。それで、その日のうちにフェイに伝えちゃったんだ」 「まあ、フィンクスやるじゃない。どうやって?」 「.....黙秘。」 OKあとで絞めとくわ。 でもおめでとう、とパクノダ。 「うん。フェイタンのことはずっと友達として好きだと思ってたんだけど、違うって気付いた」 「ふーん。なんで?」 「だってフェイタンには触られても嫌じゃなかったから」 なるほどねー、とシズク。 頭をポンポンしてくれた。 「みんな、なんかありがとね。今すごく楽しい」 「何言ってんだい。バカ」 「良かったらもう少し聞かせてちょうだい」 「うん、聞きたい」 なまえが久々の恋バナに恥じらいながら答える中、フェイタンが時折女子陣から刺すような視線を感じていたのは言うまでもなかった。 (殺気向けられてるね) (ああ、あいつらかなりなまえ好きだからな) |