「フィンクス、私もしかしたらフェイタンに殺されるのかもしれない」
「いやお前その前に俺に言うことあんだろ」

ソファに座るフィンクスの顔面はボコボコだった。出会い頭にやられたらしい。

「フィンがフェイタンにボコボコにされたことに関しては私悪くないもん。何も言いません」
「俺はテメーらがじれってェことしてるから仕方なくああしてひと肌脱いでやったんだろうが!!」
「荒治療すぎるよ!!痛かったし怖かったんだからね!」
「ぐっ、」
言葉に詰まったフィンクスを睨み続けていれば、彼は渋々謝った。私も仕方なくフィンクスの傍に近寄る。

「痛いのとるよ」
「ほっとけ。多少悪ィと思ったから甘んじて殴られてやったんだ」
「ならもう傷は治してもいいでしょ。私はもう怒ってないし、フェイもスッキリしたろうから」

フィンクスの頬に手を伸ばす。
彼はそれ以上拒むことも無く、黙って傷を引き抜かれていた。

「それで、フェイに殺されるかもっつーのはどういう意味だ」
「うん。それがね.......自分で言うの恥ずかしいんだけど」

私は一度口ごもり、告げた。

「フェイがアホほどに優しい」
「爆ぜろや」
「それでさっきも...あえっ!?今爆ぜろって言った?」
「爆ぜろ」
「もっかい言った!!!」
「なんで俺がお前らのイチャクソ話聞かなきゃいけねーんだよぶっ殺すぞ」
「フィンクス」

突然背後からかかった声に私達は揃って飛び上がった。

「野蛮な言葉聞こえたね」
「な、何の話だ?俺は今こいつとオシャベリしてただけだろうが」
「禁止よ。なまえ、こちこい雌豚」
「なぜだろう雌豚呼びに安心感さえ覚える」
「調教の成果よ」
「違うと思う」

私の腕を引くフェイタン。
そのまま自然に腰を引き寄せられ、私達は広間の出口に向かった。

「今日は街にでかけるよ」
「そ、そうなの?何しに?」
「お前が欲しがてた靴買てやるね」
「.......ぬ、盗んだやつは履かないから!」
「阿呆か。ワタシ金持ちよ」
「マジか。け、けどじゃあなおさら自分のために使ったら.....?」
「いつ死ぬか分からないのに貯めとく意味ないよ。ワタシ今、あるもの全部お前にやりたい気分ね」

私は歩きながら、助けを求める目でフィンクスを振り返った。
フィンクスはフェイタンのあまりの変貌っぷりに顔面全てでドン引きしつつ、私と目が合うと合掌してくれた。いや諦めるな。死なないから。え、死なないよねこれ?フラグ?いやだー!!!!