目が覚めて広間に行くと、フィンクスだけがソファの上でダラダラと漫画を読んでいた。

「あれ?今日フィンクスだけなの?」
「おーなまえ、お前フェイタンに付いてかなかったのか?」
「うん。朝起きたら顔の上にこれが」

フィンクスに一枚の紙を見せる。
【愚図は安らかに眠れ】

「.....」
「これはフェイタンなりの、ゆっくり寝て過ごせ、なわけだから。ほら、後ろにちっさく夜には戻る≠チて書いてあるでしょ?」
「あいつも面倒臭ェな」
「そこがフェイのいいとこだから」

フィンクスの隣に腰掛けて深いお皿の上にシリアルを入れる。牛乳をかけて本日の朝ごはん完成!

「ところでなまえ、お前まだフェイタンの部屋に居んのか?」
「ん?んー!ほーらよ」
「俺が言うのもなんだが、マチとかの部屋に移った方がいいんじゃねーの?」

私はいまいちフィンクスの言葉の意図が読めず首を捻った。

「マチの部屋に住むってこと?」
「ああ」
「それは.....とても気を遣うんじゃないかな、マチが」
「いやフェイタンの方が使うだろ。あいつ神経質そうだしよ」
「ん?フェイタン意外とガサツだよ?脱いだら脱ぎっぱなしだし読んだら読みっぱなしだし」
「(そうなのか.....)けど、毎晩一緒に寝てたらお前の身がもたねぇだろ」
「大丈夫、私達寝相すこぶる良いし」
「寝相の話してねェよ!」
「じゃあなんの話を」
「チッ!.....こういうことだ」

フィンクスの大きな掌が私の両肩を押してソファに倒した。私は目をバチクリ瞬かせながら絶句する。こ、こういうことって.....

「そ、そそういう話してたの.......いま?」
「どう考えてもそうだろうが。鈍い奴だな」
「あ、案ずるなかれフェイタンとは健全な関係です!むしろこの状況の方が遥かに.....まずい、気が」

冷や汗を流していると、フィンクスが珍しく悪い笑みを浮かべた。

「よく気付いたな。なまえ.....ちょっと付き合えよ」