なまえを手刀で気絶させたフェイタンは、くたりと力を失った彼女の身体を支えながらクロロのいる方を向いた。


「団長、こな足でまとい蜘蛛入れる道理どこにもないね」
「なまえの意思次第だ」
「こいつに人殺せないよ」
「だろうな。だがなまえの能力自体は興味深い」
「だたら盗ればいいね。もとからこいつには要らないチカラね」
「それを目覚めさせたのは、フェイ、お前じゃないのか?」

フェイタンの言葉が途切れ、一瞬オーラが禍々しく揺れた。


「……そね。ワタシもどうかしてたよ」

なまえのわがまま聞いてやる、大人のフリをして、結局その努力を無に帰そうとしている。
こんなことになるなら、初めから与えなければ良かったものを。

フェイタンはなまえを抱え、その部屋を後にした。
残された団員達は、フェイタンのなまえへの執着の深さを再び実感するとともに、連れ去られたなまえの身を心中で案じたのだった。