紺色チェックのスカートに腕まくりした白いワイシャツ。ポニーテールの黒髪をひょこひょこと動かす女の腕は、何故かワタシの肩に回されている。

「……やぱ帰るね」
「まあそう言わず。旅は道ずれとかなんとか」
「これのどこが旅か。ワタシ忙しい言てるね」
「だって自転車変形してるし足血ぃだらっだらだし歩けないから学校まで肩貸してもらうしかないんだもーん」
「家帰るいいよ」
「家より学校の方が近い」
「…」

ふわ

「お前何つけてるか」
「…え?…Cカップの」
「誰がサイズ聞いた。いい加減不審者扱いやめるね」
「ごめんごめん。で、何て?」
「……二オイするよ」
「え!!汗かな!くさい?」
「別に。…ガキのくせに色気づいてるよくないね」
「ガキって、私もう女子高生だよ」
「ガキはガキよ」
「あ、初めて笑った」
「…鼻でな」
「(すんすん)」
「…オイ何するか」
「フェイタンさんも良い匂いがする」

外套に顔を寄せて鼻をひくつかせる小娘の頭を叩く。こいつとは初対面で間違いないはずなのに、なぜ、どのタイミングでこんなに打ち解けたのだろう。思い出せない。