「念を覚醒させるやり方には2パターンあるね。まずは」
「あ、その前にフェイタンこれ!メガネ!つけた方がきっと気分乗るよ!」

ぱきゃっ、メガネは真っ二つになった。

「方法の一つは精神統一で長い時間をかけてゆくり『精孔』を開くやり方よ」

広間にはフェイタンと私の他に、今日は暇だというノブナガとマチ、フィンクスもいる。

「皆精神統一したの?」
「俺とボノは瞑想で開けたが、他の奴らは全員もう一つのやり方だ」
ノブナガが言う。

「もう一つは、他人のオーラを肉体にぶつけて、無理やり精孔をこじ開けるやり方ね。こちは下手すれば死ぬよ」
「え、死ぬのはやだ」
「けどなまえの場合どんだけ瞑想しても迷走するだけになりそうだしなァ、わっはっはっ」
「フィンクス静かに!」
「どする。止めるなら今よ。ワタシ、始めたら手加減しないね」

フェイタンは真剣な顔で私を見つめてくる。

「なまえ」
私の肩に手を置いたのはマチだ。

「やる必要なんてないよ。アンタは旅団でもないし、戦う必要なんてないんだから」
「そうだぜ。念なんて覚えなくても平穏に過ごしてりゃ生きていけるんだからよ」

ノブナガの言葉にフィンクスも頷く。

「そうだよね……でも、今までだって平穏に生きてたつもりだったよ」


決意を込めて彼らを見つめる。

この間まで普通の高校生として、平穏に生きてきた私が今こうしてここにいることが何よりの証拠だ。

「助けて欲しい時に、助けたい時に、何も出来ない歯痒さはもう二度とごめんだから。……フェイタン」

一度目を伏せたフェイタンは、その瞳を今一度私に向け、次の瞬間私のすぐ前で笑った。


「死ななかたら褒めてやるね」


そういえば一回もフェイタンに褒めてもらったことないな、私。