「おー、なまえ、お前無事かー?」
「あ、フィンクス!」
「ハ?」

アジトに戻った私とフェイタンを迎えてくれたのはフィンクスだった。彼はおぶられた私の周りを軽く一周してやれやれと肩をすくめる。
私達は並んで皆のいる大部屋に向かった。

「お前がヒソカに連れてかれたのシズクが見ててよー、フェイがブチ切れた後大変だったんだぜー?」
「え、フェイタンそんなに怒ってたの?でも今ご飯食べて帰ってきたとこだよ。ね?」
「ちょと待つね」
「中華丼おいしかったー!」
「おい雌豚」
「いや誰がメス豚だ!!確かに豚は召したけども!」
「お前何でフィンクスだけ呼び捨てしてるね」
「だってフィンクスが敬語は苦手だっていうから」
「まさかフィンクスとも友達なたのか」
「え、いやそういう話はしてないけど……でももう友達なんじゃない?フィンクスさえ良ければだけど」
「俺か?まあいいけどよ」
「フェイ、今なったよ!」
「友達そんな簡単になるもんじゃないね。それにこいつは野蛮人よ。パンチで人の頭ふとばしたりするし」
「いや殺し方のえぐさでお前にどうこう言われたくねえ!!」

大部屋に入った後も、フェイタンは私に友達のあり方についての説教をし続けた。たぶんさっきのヒソカさんの一件が原因だ。
ソファに下ろした私をフェイタンは細い目で見下ろしてくる。


「いやいやフェイタン、友達っていうのはね、作ろうとして作るもんじゃないから。友達とは、気がついたらなっているものです」

鼻高々にそう告げた私の鼻は結構な力で押し戻された。潰れた。

「煩いね。友達はもと選ぶべきよ。今のお前はどんな男にも股開く女と同じね。ヤリマンよ」
「例え最悪すぎるんですけど!!あのね、私だって何も挨拶したら友達ーって言ってるわけじゃないよ。そこそこお互いの事を知ったら友達だよ。例えば秘密を共有したりとか……」
「じゃあお前フィンクスの何知てるか」
「とりあえずお気に入りのエロ本の隠し場所と好みの女の子のタイプは知ってる!」
「ハ、そなの知てるうち入らないね。つまりお前はフィンクスと友達じゃないてことよ」
「うぐっ!?…………そ、そんなばかな」
「ちなみにオマエ私のこともあまり知らないはずね」
「そんなことない!結構知ってるよ」
「言てみろ」
「意外と甘いものが好き、ドS、足が速い、不機嫌になると眉間に皺が寄る、鬼畜、フルーツも嫌いじゃない、イビキはかかない、ホントは黒より赤が好き」
「まあまあね。でも、もと知る必要あるよ」
「えー、フェイタン最初は『ハ?友達なるきないね』とか言ってたのにノリノリじゃんねー!このこのー!」
「開き直ただけよ。お前みたいなバカでも恩売とけばいつか役に立つかも知れないね」
「友達の使い方まちがってるよ……」
「せかくだからオマエに私の特別な部屋見せてやるね。来い」
「え!そんなのあるの!?いくいく」
すっと屈んだフェイタンにおぶさる。

「どんな部屋なの?フェイタンの部屋?」
「そよ。ステキなものいぱい置いてあるね」
「えー!?宝物じゃん!見せてくれるなんてありがとう!」
「気にすることないよ、ヒミツのキョーユーだからな」


廊下の向こうへ小さくなって消えていく二人の声に、その場に居た団員達は思った。

ーーフェイタンの独占欲、想像よりヤバイわ
ーーこれもしなまえと恋人関係になんかなった暁には監禁拘束くらい平気でやるんじゃねーの?アイツ
ーーあの子にはもう少し危機感持たせた方がいいわね


「ていうかなまえはどこへ連れてかれたんだ?」
「拷問部屋じゃない?」
「え゛。誰か行って助けてやりなよ。一般人には酷だよあの部屋」
「いや、もうおせーよ多分」

数秒後あまりのおぞましさに上げたなまえの叫び声は、アジト中に響き渡ったという。