朝起きたらフェイタンはもういなかった。

「…………」


一つ言っていいだろうか。

私、昨日生まれて初めてお酒を飲んだのだ。
だって未成年だから。
でも断ったら空気がよくないかなっていう未成年は未成年なりに配慮をしていたわけである。

つまり私は昨日初めてお酒を飲むと自分がどうなるのかを理解した。

まず、記憶は飛ばない。

ただすごく気持ち悪くなる。

そんでもって我慢して寝ると、怖い夢を見る。
そんでもってフェイタンに泣きついたり腕をぎゅってしたり涙を舐められたりす「わああああ」


ああ、ねえ、恥ずかしさで死ねるよこれ。


私はぼふっばふっと枕に頭を叩きつけて
その枕がフェイタンのだと思い出して飛び上がり、忘れていた足の激痛にもんどりうって床に落ちた。


「何か一人でも楽しそうだねぇ、キミって◆」

一つだけある窓から顔を覗かせたのはヒソカさんだ。
今日はからっとしたいいお天気で、
さわやかな景色の中にいる彼はなんとなくミスマッチである。


「ヒソカさんだ。おはようございます」
「おはよう」
「何してるんですか」
「暇つぶしを探してるんだよ」
「じゃ、もう見つけましたね」

私は彼に向けて両手を差し出した。

「私をどっかにつれてってください」


了解◆ そう言って笑ったヒソカさんに一抹の不安を覚えたことは確かである