「じゃあ、私怪我が治るまでここで暮らすんだね?」
「そうね」
「分かった!」
「…………あっさりしすぎね。お前のここ何詰まてるか」
「いたたた!のうみそだよ!」

フェイタンは私の頭を傘の先でコココココッと叩いた。

「う、うちには連絡してくれたんでしょ?」
「もちろんね」
「わたしが生きてるって知ってるんだよね?」
「ああ」
「じゃあ、ノープレブレムだよ!お世話になります!」

フェイタンは疲れきった顔をしてベッドの縁に腰かけた。

幻影旅団だっけ。かなり中2臭い名前だなと思ったことは内密だけど、旅団と言うからには彼とヒソカさん(覚え直した)以外にも構成員はいるのだろう。

「フェイタン、私ちょっとトイレに」
「駄目ね」
「だめってどういうこと!?」
「トイレ行くふりして探検する気ね。魂胆見え見えよ」
「ぐっ、な、なぜばれた」
「本当にトイレに行きたくなた時はワタシが連れててやるね」

ちっとも譲歩してくれそうにないフェイタン。
こうなったら直球勝負だ。

「フェイタン!私、っあ」
「!!」

身体を起こしてフェイタンに詰め寄った瞬間、ベッドに着いていた手がずりっと滑り支えを失った。
体勢を崩した私は当然ベッドから落ちるわけだが、その衝撃はいつまでたっても訪れない。当たり前だ。

「………ごめん、フェイタン」
「愚図が」

腕を私の脇に差し込んで落下を食い止めてくれた彼は、私の肩に顎を乗せると小さく唸った。

「お前は頭弱いから分かてないね。……今自分がどれだけ危険なところにいるか」
フェイタンの声は小さく、私の鼓膜を揺らす。

「……袋詰めになた瀕死のお前見た時の、ワタシの気持ち想像つくか」
「………うん」
「お前が無理矢理ワタシのこと友達にしたね。そのくせ勝手に死にそうになて、自分勝手もいいとこよ」
「そうだね………ごめん、フェイタン」

フェイタンの背中を優しく撫でる。

「もう、一人で危ないとこいくな。弱いくせに、逃げないお前は心臓に悪いよ」