「………」

突然の浮遊感に目を開ければ、落ちていた。
月の所為で視界は明るく、眼下に広がる木々の群れが、徐々に、しかし急激に近づいてくるのが分かった。うん…やっぱり落ちてる!


「………っっ!!??」
「目覚めたか」
「っ、!?フェ、フェイ!?え、っどうし、」
「大人しくしてなね。暴れたら落ちて死ぬよ」

私が腕を回していたのはフェイタンの細い頸で、慌てて体中に力を込めた。
「っっう」
「馬鹿ね、身体力込めたら痛むに決まてるよ」
「……わ、たし」
「着地する。舌噛むよ」


分けが分からないままフェイタンの言葉に従って口を閉じる。
フェイタンがあまりにも余裕そうだったから死ぬ覚悟はしていなかったけど、それなりの衝撃に備えて身を固めてはいた。――が、杞憂に終わったらしい。
「……あっ」
思い出した。

思い出した、


「フェイ、…フェイタン!!戻って…!」
「あ?」
「早くしないと」

だめ、
だめだ、いやだ

「みんながしんじゃう」