「がっく…、ひっく、亜里沙、っぅ、ナマエちゃんになんかっしちゃ、た…のかなぁ」

「亜里沙が何かするはずねーだろ!クソクソ!全部ミョウジが悪ィに決まってる!」

「せやな…。ミョウジのやつ、ただじゃおかんで」

「安心しろ、亜里沙。俺達が護ってやるからな!……俺にいい考えがある。」

**


放課後練の後、泣く亜里沙を囲んで皆で相談した結果、朝練の前にアイツの机の上に菊の花を置いておくことにした。
実行は勿論言い出しっぺの俺。
一昔前のイジメみてーでちょっとやだったけど、でもミョウジも亜里沙を苛めてるから、自業自得だ。


「ミョウジもう来てっかな」

「さあな」

宍戸と教室に戻りながら、俺は内心浮き足立っていた。(もしかしてアイツ泣いてたりして。ざまーみろ)
宍戸は、ミョウジが編入してきた時からアイツに気があったみたいだけど、今はさすがにもう嫌いになったはずだ。やっぱ虐めなんてするきたねー女、顔がよくたって誰にも好かれねーよな。

――ガラ

「あ!向日君宍戸君おはよーっ」

「見てよミョウジさんの机!花瓶置いてあんの、うける〜」

「あ、それオレ!俺が置いたんだぜ」

「そーだったのかよ!ナイスじゃん向日」

ほら、クラスメイトの奴らだって誰も批判してこねーだろ?
くるりと室内を見渡したがミョウジの姿はまだない。(来てねーのか。)
窓側に座っていた亜里沙が可愛らしく駆け寄ってきた。

「が、がっくん…やっぱりよくないよ…やめようよ」

「亜里沙は優しすぎだって。アイツにはこんくらいが丁度いーんだよ」

その時タイミングよくクラスの扉が開いた。

「!!!!」

驚愕したミョウジ、ではなく、俺達。


「………ミョウジ、さん?」

「……んぉ?」

「な、なんだよ…おまえのそのかっこ…」

「………あぇ?」

ファンシーな動物達(ここから確認できたのは、舌を出すウサギと、踊る……サイ?)の柄のパジャマ。
氷帝女子着用必至のスカート。
場違いに重々しい黒いコート。背中には金色の文字で、……よめねェや。
肩にかけている学生鞄からはみ出すフランスパン。
なぜか手に握っているフォーク。

「………」

生まれて初めて、絶句、した。おれ。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -