午前四時、ごつん!という衝撃にて起床。

「ありがとう、グリムジョー…でももう少しマシな起こし方は無かったの?頭突きって」
「起こしてやったんだ文句言うなよ。ったく、俺を目覚まし代わりに使いやがるとは良い根性してるぜ」
「いやでもあたしの携帯放り投げて壊したのグリムジョー…ま、いっか」
「準備できたら呼べ」
「あーい」

無意味にこんな時間帯に起こしてもらったわけじゃない。理由はちゃんとあった。
制服に着替えて、机の下から紙袋を取りだす。この中には浦原さんから頂いた小型カメラが数代入っていた。

復讐の諸段階としては、まず監視カメラの設置から始める事にした(昨日の晩にグリムジョーと決めたのだ)浦原商店に行くと、待ってましたと言わんばかりの様子で浦原さんは快くカメラをくれた。彼曰く超軽量でのぞきにはバッチリ!らしい。使い終わったらちゃんと返そう。

「遅ぇ」
「あ。もう行けるよ、グリムジョー」

部屋の外で待っていてくれたグリムジョーと共に玄関を出て、まだ真っ暗な道を歩く。春先のひんやりとした空気が心地よかった。


「まずはやっぱ体育館裏とかかなぁ…王道だし」
「なァよー。やっぱりそんなまどろっこしい事しねぇで、桜子って女ちゃちゃっと捻り潰しゃ良いんじゃねーのか?…俺が殺して来てやってもいんだぜ」
グリムジョーはさらりとそう言ってのける。

「あたしもできればお願いしたいけど、したらしたで誤解解けそうにないし…まかり間違って殺人犯の犯人になんかにされちゃたまんない」

やっぱり正々堂々ね。昨日はああ言ったけどやはり理解されないままは嫌だもの。


「お前が良いなら、いいけどな。精々怪我しねぇようにしろよ」
「うん、がんばる」

時間は刻一刻と過ぎている。まずは体育館裏。そして女子トイレに、教室、屋上にふたつつけ終わるころには、太陽も顔を出し、ちらほらと生徒たちの姿が見え始める。

「朝から疲れた」
「じゃあな」
「あ、グリムジョー」
「?」
「付き合ってくれてありがと!」

先程校内の自動販売機で買った温かいお茶を差し出す。グリムジョーは目をまんまるくさせていたけど、私はこれ、一応お礼のつもりだ。


「…俺に?」
「いらないんなら、あたしが飲むけど」
「誰もそうとは言ってねェ」
「はい」
「…貰っといてやるよ!」

引っ手繰るように受け取ってそっぽを向いた。後から気付いたのだけど、グリムジョーは意外と照れ屋だ。

「また後でな」

言い捨てていってしまったけど、今の一言がどれほど私を勇気づけてくれているのか、きっとグリムジョーは気付いてないんだろうな。
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