教室を出て真っ直ぐ家に帰った。泣きはらした目を誤魔化すように枕に顔をうずめる。
後から後から、涙が溢れた。
「お、かし…な」
あたしのどこにこんなに水分が残ってたんだろう。グリムジョーの所為で涙腺が本当に緩くなってしまった。良い迷惑だ。
「…ぐりむじょー」
――あいたい
「呼んだか」
「…?」
「おい、バカ女」
顔を上げれば空に滲み入るような水色と目が合った。窓枠に足をかけて、ベットでうつ伏せになっている私を見て笑った。幻聴じゃ、なかったんだ
「酷ェ面だな!さっきまでの意気込みはどうしたよ」
「あ、え、何で」
「うるせー、よっと」
「へぶっ」
そのままジャンプして私の背中に腰を下ろす。
「痛いよ」
「おう」
「明日っていったじゃん」
「早く終わったんだよ」
「明日までには、涙ひっこめとこうと思ってたのに」
「そーかよ」
「う…」
「我慢してると酷ェ顔が余計に酷く見えるぜ。そんなんだったら今日のうちに全部出し切っちまえ」
背中から退いてくれたグリムジョーに、思いっきり飛びついた。そんで思いっきり泣いたら、私の部屋にあった私のタオルを顔に押し付けられた。服に鼻水が付くのは、もうごめんらしい。
「う、えっく…言ったよ。あたし、桜子に宣戦布告した」
「おう」
「多分 めちゃくちゃクラスの反感買った」
「だろうな」
「だけどグリムジョーが味方って思ったから強気んなれたんだよ」
「ああ」
「あと一護にほっぺ叩かれた」
「あんだと!?」
「グリムジョー、一護知ってんの?」
「…しらねェよ」
グリムジョーは腫れたなまえの頬に手を当てる。なまえ痛そうに眉をしかめるのを見て、思いついたように頬を引っ張った。
「痛だあ!な、何すんの、すごく痛いよ」
「何となくだ」
「何となくって、痛、たた」
「笑え」
「え?」
「泣き終わったんなら笑え。テメーにはそっちの方がお似合いだ」
ぽかんとしていれば、グリムジョーは口をへの字に曲げてそっぽを向いた。ちらりと見えた耳は赤く染まっている。
「うん。―――、笑うね、あたし」
そう言うとグリムジョーは、ぎこちない仕草であたしの頭をわしゃわしゃ撫でてくれた。ぬくい、その優しさのおかげで、今日はいい夢が見れそうだと思った。
(ところで何で家知ってんの?)
(霊圧)
れいあつ、ってなんだろ。