目を開けると、下腹部の鈍い痛みに目眩がした。小さく呻いて体を起こす。窓から差す光は鈍い色を帯びていた。雨、降ってるんだ。
「、ふ…っく」
薬品の匂いが先程の情事を思い出させる。私は扉を勢いよく開けて、すぐそばの階段を駆け上った。一段一段踏みしめる度に涙が頬を伝う。
汚い、汚い、きたないきたない…!
もうどんな顔をしてグリムジョーに会えばいいのか分からなかった。目を閉じる度に、あの貼り付けられた笑みを。喋り方を、動作を、思い出す。体が震えた。
屋上に出て、雨の中に座り込む。
こんな私の傍に居てくれるはずがない。
――こんな私を好きだと言ってくれるはず、ないよ。
「なまえ!!…どこに居やがったずっと探して」
「グリムジョー」
私は彼の足もとを見ながら小さく、小さく呟くように声を出した。雨音が掻き消してくれるようにと僅かに願いながら。
「もう、あたしに関わらないで」