運命の輪

 
ここは、あまり人の出入りがない少し落ち着いた喫茶店。HONKY TONK。

この店を出入りしている、3人の人たちがいた。





運命の輪








―カランカラン


「いらっしゃい」

「波児、ブルマン。ツケで」

「俺もツケで!」

「私は、アイスティー」


彼らの名前は、少し奥のカウンターに座ってる順に 美堂蛮、天野銀次、苗字名前である。

名前の仕事は、主に情報屋なのだが よく蛮たち・Get Backersと共に奪還屋の仕事をしている。


「いらっしゃい、名前さん タロット占い興味ありませんか?」

「タロット占い……?」


名前は少し頭を傾げながら夏実に問い返した。


「今流行ってるんですよ、最近そのカードを買ったんです。やってみませんか?」

「へ〜、面白そうだね、やってみようかな」

「本当ですか? 今カードを取りに行くのでちょっと待ってて下さい!」


夏実は、奥の部屋へと入っていった。







*******







「お待たせしました。名前さん、このカードをよーく混ぜてください」


名前は、夏実に言われた通り カードを混ぜた。


「それでは、この中から順番を変えずに3枚抜いてください」

「分かった。それじゃあ……これと、これと……これにするね!」


名前は、3枚のカードをカウンターに並べた。


「名前さんから見て、右に置いてあるカードは今のあなたの気持ち。左に置いてあるカードは今の恋の相手の気持ち。真ん中のカードはその二人の結果が示されてます!」

「こ…恋…!? 恋占いなの?」


想定外な占いに驚く名前だが、夏実はお構いなしに話を進ませた。


「はい! 私、これくらいしか占いのやりかた知らないんですよ〜。では、右においてあるカードめくってください」

「ぇ、あ……分かった」


名前は、夏実に言われて右に置いてあるカードをめくった。


「…女神?」


そのカードには、『女神』と書かれた絵が書いてあった。


「…なるほど、名前さんあなたは精神的な恋をしてますね?」

「ほえ…!?」

「おい、どうなんだよ」

「もしかして当たってる??」


隣にいた蛮と銀次も、気になってるようだ。

身を乗り出すように問いかけてきた二人に、名前は頬をかきながら……


「あの……は、はい」


そう答えを口にした。


「当たってるんですね♪ さて 続いて左のカードをめくってみてください」


名前は、左に置いてあるカードをめくった。


「…太陽?」

「…相手も名前さんの事を想ってるみたいですね」

「!? そ、うかな……」


そして、最後のカードをめくった。


「…運命の輪」

「なあ、これって…」

「すごーい! 運命の人がすぐそこまで来てるって!! その運命の人とは、ズバリ名前さんの想い人……かも?」

「かもって……」


夏実は、手を合わせながら驚きの表情で言った。


「おい夏実、その運命の人ってどうやって見つけるんだ?」


興味が湧いたのか、蛮は夏実に問いかけた。


「それは簡単ですよ。名前さんと同じこの『運命の輪』を引き当てた人だよ」

「でも、占いってあまり当たらないって聞くから…」

「その運命の人、名前さんお好きな人だといいですね」


―カランカラン


夏実が、カードを片付けてるときだった。


「おやおや、お久しぶりですね♪ 銀次クン」

「ヒィィ! あぁあぁあぁあぁ赤屍さんっっ!!!」


運び屋で有名な 赤屍 蔵人がやってきた。


「このクソ屍! 何しに来やがった!!!」

「たまにはここでコーヒーを飲むのも良いと思いまして…隣よろしいですか? 名前さん」

「はい、どうぞ…」


赤屍は、名前の隣の席に座った。


「そうだ! 赤屍さん、タロット占いやってみませんか?」

「占い…ですか…」

「はい!」


目をキラキラと輝かせる夏実に、赤屍は口元に手を添えて考えるそぶりを付けながら……コクリと頷いた。


「…えぇ、1回だけならば」

「それでは、このカードをよーく混ぜてください」


夏実の言われた通り、占いに少々興味を持った赤屍はカードを混ぜた。


「それじゃあ、この中から順番を変えずに3枚抜いてください!」


少し間をあけながら赤屍は、3枚カードを抜いた。

先程名前がやった手法と同じだ。


「赤屍さんから見て、右に置いてあるカードは今のあなたの気持ち。左に置いてあるカードは今の恋の相手の気持ち。真ん中のカードはその二人の結果が示されてます!」

「ほう、恋占いでしたか」


赤屍は、右のカードをめくった。


「神父…ですか…」

「…赤屍さんは、相手のことを深く愛しているんですね」

「えぇ、もちろんですよ」


夏実の言葉に、赤屍は何の迷いもなく答えた。

その答えにな石の泥いているのは、名前のようだ。


(赤屍さんお好きな人って誰なんだろう……)


名前がそう思っている横で、赤屍は左のカードをめくった。


「天使…」

「相手は、あなたに対して秘めた想いを持ってるみたいですね」


隣で、蛮と銀次と名前は結果をドキドキしながら聞いていた。

そして、赤屍は最後のカードをめくった。


















そのカードには――――















『運命の輪』と書かれていた。





「おい、ウソだろ…」

「名前の運命の人って…」


蛮と銀次は、ピキ―ンと固まってしまった。

当の本人である名前は、その結果を見て とても驚いてるようだ。


「すごいすごい!! 名前さんの運命の人って、赤屍さんだったんだ!!」


そんな中、一人とても嬉しそうに話す夏実。当の本人はと言うと、この事実に驚きながら頬を赤く染めていた。


「でも、そうと決まったわけじゃ…」

「話が良く見えませんが……どういう意味ですか?」


赤屍は、さっきから喜んでいる夏実に問いかけた。話の状況が読めていない様子である。


「名前さんも、今と同じ手順でやったんですよ。最後のカードは、赤屍さんと同じ『運命の輪』のカードを引き当てたんです!」


「こんな偶然も起こるものなんですね〜」と付け足すように、夏実は話した。


「俺は信じねぇぞ!! 名前をクソ屍なんぞに渡してたまるか!!!」

「は? ちょっと……蛮?」

「でも、肝心の名前さんの好きな人って…誰なの…?」


タレ化した銀次が、ポツリと呟いた。彼の言葉に、ウガーと叫んでいた蛮の動きが止まる。


「…そうだ、相手がクソ屍って決まったわけじゃねぇ…」

「それは興味深い。相手は、誰なんですか…? 名前さん」

「えっと…それは………え〜と…」

「しらばっくれるなよ!」


皆の質問攻めで、名前は顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。

三者三様からの視線に困り果てる名前に、夏実は助け船を出すように口を開く。


「じゃあ、蛮さんと銀ちゃんもやってみますか? タロット占い…」


カードを指差して、夏実は二人に問いかけた。







*******







「うそだろ……」

「この結果…本当なの? 夏実ちゃん…」

「信じるも信じないも、銀次さんたち次第ですよ」


2人がタロット占いをした結果……偶然、二人の結果は一緒だった。

結果は、『好きな人は、別の人を好きになっている。もし、その2人を引き離すような事をすると天罰(細切れ等)が下るであろう』ということだった。


「ちょっと嫌な結果がでちゃったよ〜名前さ……あれ?」


銀次が、名前に問い掛けようと横を見るが 名前の姿がなかった。

「あれ?波児さん、名前さんは…?」

「ん?名前だったらさっき出て行ったぞ。赤屍と一緒に」

「「え!!?」」


二人の声が、HONKY TONKに響いた。







*******







その後、あの2人はどうなったのかというと……


「あまり、自覚したくないですけど…」

「貴女の口から言ってくれるまで待ちますよ。名前さん、私への愛を……ね」

「……はい」


お互いが想いあえるには、もう少し時間がかかりそうだ……。



―END―





*言い訳コメント*
夜「わ〜、初めて書いた奪還屋小説がこれって……なんかこっぱずかしいね!」
蛮「目を輝かせながら言うセリフかよ」
銀「えーと、初めて書いたのが2005年だから……8年も前の作品になるのかー」
夜「この時の私は、右も左も分からない新米だったからね〜」
赤「今もそう変わりないじゃないですか」
夜「あ、言ったなー。この八年間、色んなジャンルに浮気しながら書く小説も増えていったね。文章は向上している……ハズ」
蛮「おい、なに明後日の方向見ながら喋ってんだ」
銀「自信がないんだね」


成長してんだかしていないんだか分からない所ではあるが、管理人が初めて書いたお話であるのに変わりはないので!
ここまで読んで下さりありがとうございました!

製作日:2005/3/25
引越日:2013/12/20

 

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