クリスマス騒動

 
今日は年に一度のクリスマス。

ここ、無限城では いつもとは打って変わって沢山の人たちが訪れていた。

広場の中央には、大きいクリスマスツリーがありライトが点灯されている。そんなイベント会場で、彼女・名前は誰かに追われるようにして走りながらイベントに参加していた。




クリスマス騒動




「よし! 上手く巻いてこれた!!」


手にグッと力を入れて名前は言った。

そもそも名前は誰に追われてたのかというと…学校の同級生で、クラス1人気がある友人1と言う人に追われていたのだ。

ちなみに、彼女は裏稼業をしていません。どうして、こんな危ない無法地帯の無限城で行われているイベントに参加しているのかというと…



***



友達の夏実がバイトしている店で知り合った奪還屋二人組みとの出会いが事の始まり。

イベントの話を聞いて、奪還屋の二人組みと一緒に来ていたのだが…


「まさか、迷子になってしまうとはね〜〜…」


無限城に入って、しばらくして逸れてしまったのだ。


「…ま、話によれば彼も参加しているって聞くし 早めに合流しないと」


そう言って、人込みの中を歩いていた時だ。彼・友人1が何故か無限城にいたのだ。


「名前〜〜〜! こんな所で会うなんて、俺たちは運命の赤い糸で結ばれているんだな〜〜♪」

「ぎゃああああ! 来るな!!そして、語尾にハート付けるな〜〜!!!」


そもそも、何故友人1が名前を追いかけているのかと言うと…短く話せば、友人1は名前のことを一目惚れしてしまったのだ。


「お前は運が良い、こんな人気の高い友人1様と付き合う事が許されるんだからな〜〜」

「私は迷惑だ! どっかいけ!!」


彼の欠点は、自惚れ屋だということ。

欲しい物を手に入れるためには、犠牲を惜しまない人だから名前はどうも好きにはなれないのである。



***



そして、今に至る。


「あ〜! 名前ちゃん!! 探したよ〜〜!」


息切れを起こしている名前の元へ、蛮と銀次がやってきた。


「蛮さんに銀ちゃん!! 助かった〜〜…」

「どうしたの? もしかして、誰かに追われてたの??」


タレ化している銀次は、名前の手を握りながら言う。彼女が息切れしている所を見れば一目瞭然なのだが、一応彼は問うてくれた。


「ちょっとね…でも、上手く巻けたから しばらくは大丈夫だと思うけど…」

「何だ、蛮達も来てたのね」


蛮・銀次と会話している名前の元に、卑弥呼が話し掛けてきた。そして、卑弥呼の後ろには…


「おや、名前さんも参加してたのですね?」


そう、赤屍もいたのだ。赤屍を見て、銀次は石化してしまった。


「アカバネサンマデ…ドウシテココニ…」

「銀ちゃん、言葉がカタコトになってるよ〜」

「貴方たちが参加しているとは、今日はこの企画に来て正解でしたね」


ニッコリと嬉しそうに微笑む赤屍。


「私も、赤屍さん会えて…嬉しいですよ…」

「クス そうですか」


顔を少し赤くしながら話す名前のところに、乱入者がやってきた。


「名前〜〜〜!! 見つけた〜〜〜!」

「!!」


広場の中央に聳え立つクリスマスツリーの近くで、友人1が叫びながら走ってきた。


「ゲ、友人1……」


姿を見ただけで、名前は一歩下がってしまった。


「いい加減に俺の気持ちを、素直に受け取ってくれよ〜」

「絶対に嫌だ!」

「まぁまぁ、そう言わずに…」


二人の会話を聞き、赤屍の表情に雲がかかった。


「…名前さん、もしや 彼から逃げていたのですか?」

「見れば分かるじゃないですか!! しつこくって本当に困っているんですよ〜〜」

「そうですね〜…私で良ければ、何とかなりますが…」

「本当ですか!? 本当に本当に困っているんですよ!! お願です、助けてください!」


クスッと微笑んだ赤屍は、友人1に言う。


「彼女が困っていますよ? 嫌われないうちにやめてはどうでしょうか?」

(それ以前に、私は奴が嫌いです。でも、赤屍さんは助けてくれるって言ってくれたけど……何を考えているんだろう…)


頭に「?」を浮かばせて、二人の会話を聞く。


「おいおいおい、お前は名前の彼氏なのか? すっごく偉そうな口してんなぁ」


ケタケタと笑いながら話している友人1だが、赤屍の発言でガチッと固まってしまった。



「その通りですよ? それが何か…?」



その発言を聞き、その場にいた蛮や卑弥呼、そして銀次まで固まってしまった。なんという爆弾発言をしでかしたんだこの男は。誰もがそう思ったに違いない。

そして、当の本人はと言うと…


「あの…本当ですか?」


顔を真っ赤にして、赤屍に聞く。


「当たり前じゃないですか。一目惚れなんですよ、実はね」

「ぅ、ぁ、実は…私も、なんですよ…」


真っ赤にして、顔を真下に向けながら 小さな声で名前は言った。


「おや、そうだったんですか、とても嬉しいですよ。名前さん」

「俺は認めないからな!!」


固まっていた友人1が、ビシッと赤屍と名前に指差す。


「名前にお似合いなのはこの俺だ!!」

「やれやれ、まだ理解してくれないようですね…」


―ヒュンッ


赤屍は、友人1にメスを向けた。


「これ以上私達の仲を荒らすようなことをするのなら…今度は、命がなくなりますよ?」


殺気を漂わせながら、ニッコリと微笑みながら話した赤屍。


「〜〜〜〜〜…俺は絶対に諦めないからな! 今度はそうは行かないからな!!!」


そう言い残し、友人1は二人の前から姿を消した。


「こんな展開での告白になってしましたが、本当ですからね」

「はい! じゃあ、蛮と銀ちゃん ここからは赤屍さんと一緒に行く事にするね!」


手を振りながら、名前は三人から離れていった。


「今日は良いクリスマスになりそうですね!」

「えぇ♪ 今日と言う日を、大切にしましょうね。名前さん」

「はい!」



クリスマスの日に付き合うこととなったカップルは、聖なる日を共に過ごすのだった。




〜END〜
製作日:2005/12/25
引越日:2013/12/20
急いで書いたので、色々おかしな部分があるとは思います;
見つけたらBBSかメールで報告をお願いします;

クリスマスか…私は飼猫と一緒に夜を過ごそうかな〜…

 

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