泥門高校体育祭開催!<後>

 
只今、二年生選抜の駅伝が行われている。

そんな中、校門前でヒョイヒョイと指を動かしてセナとモン太を呼ぶ三人組がいた。

アメフト部の中で、ハァハァ三兄弟と呼ばれている奴等である。(実際兄弟ではありません)


「あの外道悪魔+α(名前)が――――」

「このまま黙ってゴールさせてくれっと思うか?」

「「確かに(名前さんには悪いけど……)」」


コソコソと話すように、ハァハァ三兄弟はセナ達に言う。


「駅伝始まってからどうも姿が見えねぇ、多分ゴールの校舎までのどこかで武器もって待ち伏せしてやがんだ」

「黙ってやられっ放なしは趣味じゃねぇからな、先回りして取り押さえるぞ」

「ヒルマサント名前サンヲトリオサエル!!?」


驚きすぎて裏声になってしまったセナ。


「いや ……まあ……俺らもとんでもねぇ事言ってっとは思うけどよ」

「全員でかかりゃあなんとかなるだろ!」


虫取り網を片手に、三兄弟とモン太は外の道路に出た。


「!! その角曲がった先 いきなりかんか妖気が……!」


とある曲がり角で身構える皆。


「そっと近づいて捕獲すんぞ!」


ゆっくりと曲がり角の先を見ると、なぜか戦車がセナ達の前に現れた。

戦車の上には、脅迫手帳を持つ蛭魔と涙を流す名前の姿が見える。


(あれほどやるなって言ったのに……)

「あ? 何してんだテメーら」


ガムを膨らませながら、蛭魔は戦車近くにいるセナ達に話し掛けた。


「い いえその……なんでも……」


そんなこんなで白組が再々逆転し、決着は最終競技である騎馬戦に持ち越されたのだった。




泥門高校体育祭開催!<後>




最終競技の騎馬戦。騎馬を作った白組は蛭魔の指示を聞いていた。


「いいか 糞白組ども! 全員打ち合わせ通りのルートで進め! フォーメーション乱したら撃ち殺すぞ!!」


空に向かって銃を撃つ蛭魔。隣では大きく説明書きれている紙を持つまもりと名前がいる。


「ウワァァ……なんかわかんないけど、騎馬戦をあんな戦略的に……」

「あの頭いいカルテット、まっっじで敵に回すといやらしいな……」


そんなセナとモン太の会話が聞こえた時、蛭魔が何かを言いながら2人に近づいた。

もちろん、2人は怪しいと察して顔を青くしながら一歩下がる。


「ま、誰だって引くわな」

「何か言ったか?糞名前」

「べ、別に……」


そう言いながら去ろうとした時――――


―ガチャコ ガチャコ


何かが閉まるような音が名前の耳に届いた。


「ムキャアアァァァァ!?」

「て……手錠ー!!?」


セナやモン太の手首に手錠がかけられた。


「やっぱり……あまり混乱にさせないほうがいいんじゃ……」

「きにすんじゃねぇ! あれで勝ちゃあいいんだよ!!」


はぁと軽くため息をする名前。

得点板を見ると、赤組278点・白組288点 と書かれていた。



『得点差はわずか10点! この騎馬戦に勝った方が優勝となります!』



アナウンスが校庭全体に響く。


「と……とりあえず、頑張れよ―!」


手を軽く蛭魔に振る名前。蛭魔も気付き手を振った。


『それでは、体育祭最終決戦! 騎馬戦のスタートです!!』


係りの職員が、パンッと鉄砲を鳴らした。


「さーて陣刑『騎馬戦式ショットガン』だ!!」



『おおっとこれは!? 白組が全馬左右に広がった!』



先程の会議で決めた通りに動く白組一同。破ったらなにされるか分からないと言うのが現状だが……


「白組も赤組も頑張れよー!!」


手を振りながら、お互いのことを応援する名前。

そして、次々と赤組の騎馬が倒されていった。



『蛭魔大将の指揮の下 統率の執れた動き!! 赤組の馬が次々と潰されていくー!!」



アナウンスしている側も、少し熱が入り始めていた。


「ところでまもり先輩、いつまてその格好でいるんですか?」


その格好とは、しましまの派手なコートに拳銃を片手に持つことを指していた。


「好きでこんな格好になったんじゃないのに……」


涙を流しながらまもりは名前に話す。


「でも、かっこいいですよ!!」


気遣うようにまもりの肩を叩く名前。

騎馬戦に出ている男子達を見ると、敵に立ち向かうセナの姿が見えた。


「セナ? なんでセナまで手錠つけてるの!?」


驚いたまもりは着ている衣装を脱いで蛭魔に聞こえるほどの声で話し掛けた。


「ちょっと危ないじゃない! 大体騎馬戦なんてセナには……」


だが、頑張って敵と戦うセナを見てまもりは話を止めた。


「セナ、頑張ってるじゃないか」


皆の様子を見ながら名前はそう言った。







*******







『決戦の騎馬戦を制したのは赤組! 優勝!!』


なんだかんだいろんなアクシデントがあったが、無事に体育祭は赤組が勝利を収めた。

そして、セナたちについている手錠を外す名前たち。


「おかしいとおもった〜」

「騙すようにやってごめんな」

「いえいえ、気にしてないから平気だって!」


手を目の前でブンブンと振りながら言うモン太。


「通常メニューにプラスして騎馬戦でやったバンプ(どつき)を一週間みっちり鍛えていくぞ!!」

「「「イエッサー!!!」」」


こうして、長いような短いような体育祭が無事に幕を下ろす事ができたのだった。

だが――――


「これネットに流すぞ! っつう糞マネの脅迫ネタも採れて一石二鳥と」


蛭魔が使っているパソコンから、先程のまもりの姿を映した映像が流れていた。


「ホンッッットにサイテーー……!!」

顔を真っ赤にして言うまもり。


「大丈夫です、俺が口止めしておきますんで」


肩をポンッと叩くようにして、名前がまもりに言うのだった。


end


プチあとがき。
2005/10/12〜2005/10/28
以上の期間の間に制作し、公開していた作品。
連載候補だった作品だけど、断念した代物だったりもする。
蛭魔夢を目指したはずが……

引越日:2013/12/20

 

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