泥門高校体育祭開催!<中>

 
前回までのあらすじ。

体育祭当日、蛭魔の計画によってまもりと雪光と名前の三人の――――


「どんな手を使っても勝ちなさい!!」

「ガッテンダ!」

「ガッテンダ!」

「ガッテンダイ!!」

「「どおおなってんのー!!?」」


性格が壊れてしまった……

果たして、彼らは正気に戻ることはできるのだろうか……!?




泥門高校体育祭開催!<中>




「こ この普段からの変わり様は……」


ガクガクと震えながらセナは言う。


「一人だけ、まるで変わってないのもいるけどね……」


後ろでセナの言葉に続けて言う栗田。無論、蛭魔のことを指している。


「なんかあるんだ これ きっと 負けたら絶対なんか恐ろしい事が……!!」


アメフト部一同、嫌な予感が漂っていた。



『さあ 戦局を占う初陣を飾るのは赤組白組どちらなのか!? 各組選抜パワフルメンバーによる綱引きのスタートです!』



「この後の体育祭の流れってどうなるんですか?」


ガチャガチャと武器の手入れをしている蛭魔に聞く名前。


「まさか、プログラム貰ってねぇのか!? 糞名前」

「糞は余計だ!!」

「ほらよ」


ピラッと宙を舞う一枚の紙。バシッと名前は掴んで予定を見た。

予定は以下の通りである。

開会式
綱引き
全学年選抜
玉入れ
全学年選抜
フォークダンスで地獄行き
一二年生
100m走
全学年選抜
組体操
三年生
着ぐるみ二人三脚リレー
全学年選抜
休憩
応援合戦
大縄跳び
全学年選抜
ムカデでマイケルジャクソン一年生選抜
駅伝スタート
二年生選抜
死ね!ドッチボール
三年生選抜
駅伝決着
騎馬戦
全学年男子
閉会式


危なっかしい単語も入っているが、気にしないでおこう……


「綱引きは向こうが勝つな」


名前が言ってるそばから、赤組が力を発揮して白組を引っ張った。


「アメフト部すげぇぇ!!」



『これが巨深を破った泥門デビルバッツの実力か! アメフト部のラインマン達のパワー炸裂で赤組先制―!』



補足2:体育祭前に巨深ポセイドンという身長が高い人たちの集まりであるチームと戦い、無事に勝利を収めたのだ。

得点板に、赤組に20点追加された。


「ケケケ やるじゃねぇか! 仕方ねぇ、出動といくか! 来い! 名前」

「おう!!」


はちまきをぎゅっと頭に結ぶと、蛭魔に続いて行く名前。


「赤組にリードをゆるしちゃ 計画の邪魔になるんでな!!」


銃を片手に、グラウンドへと出た二人。


「最っ低の悪魔だけど、名前さんとコンビを組むと ホント頼もしい……!!」


と、白組。


「ひぃいい……!!」

「敵に回して初めてわかるこの恐ろしさ……!!」


と、赤組が語る。

この展開からして、蛭魔と名前のコンビは全学年に広まっている事がよく分かる。



『続いての競技は玉入れ!!玉数の差がそのままポイントになる いきなり天下分け目の天王山です!!』



両者、次々とカゴに玉を入れていく。


「え これ赤勝ってる? 勝ってるよね!?」


お互いのカゴの中に入っている玉の量を見て、セナがモン太に話す。


「いいぞ! このままぶっちぎって……」

「あ、白組 蛭魔も雪光くんも姉崎さんも名前ちゃんも出てる……」


どっさりと玉を持ちながら、相手側の選手を見る栗田。

四人の周りには、妙な気配が漂っていた……


「泥門頭いいカルテットか!」

「ウワァァ……どう見ても何かやらかしてきそう……」

『おっと これは白組雪光くん 白玉を投げずにかき集めて……? 風紀委員 姉崎まもりさんは、Tシャツで袋を作ってるぞ!?』


解説の通り、雪光は周りに落ちている白玉をかき集め、まもりは近くにいた男子のTシャツを借りて袋を作り、雪光の集めた白玉をザザザと入れた。


「SET! SET!!」


2つにできた大きな白玉の入っている袋を、まもりは結びながら蛭魔と名前に渡す。


「「HUT!!」」


2人は袋を掴むと……


「Ya――――ha――――!!」

「どりゃー!!」


ボシュッという音をたたせ、2つの袋が宙を舞う。

そして、ドスッと音を立てて2つの袋はカゴの中に入ったのだった。


「うおおー さすが投手蛭魔!」

「名前ちゃんも命中した! これはスゴイ!!」


これで、白組の点数も急激にUPした。

赤組の方はというと、たくさんの玉をかかえて肩車になりながら一番上に乗っているモン太がカゴに入れた。

だが、衝撃でモン太と共にカゴも倒れてしまって……

結果は、白組102個 赤組0個の結果で終った。その横でモン太が他の男子に蹴飛ばされたが、あまり気にしないでおこう。







*******







競技も順調に進み、只今の得点……赤組98点・白組182点。


「まずいよこれ……赤組が負けたらどんな恐ろしい事が……」


またガクガクと震え始めるセナ。


「まもりさんの人格が変わるほどだもんな……」


と、冷や汗を垂らしながら話すモン太。


「でもこれ見ろ、次の目玉競技『着ぐるみ二人三脚リレー』に勝ちゃ―――」

「+100点! ギリギリ逆転できるよ!!」


少しだけやる気が出てきた栗田。次の競技で逆転なるか!?



『それでは出場走者の皆さん 二人三脚のペアを客席から一人ずつ選んでください!』



「位置について、よーい……」


―ドンッ!



『今 各馬一斉にスタート!!』



着ぐるみはどうしたかというと、学校側でなんとか用意されたのだった。


「息合ってる人と合ってない人との差がよく見れるな」


名前はネコの着ぐるみを着て隣にいるウサギに話し掛けた。


「ケケケケケ 俺の前走ってたら撃ち殺すぞ 糞森の仲間達」


不気味な笑いを飛ばしながら、銃を片手に持つウサギ。笑いや口調からして、誰かハッキリ分かる所が怖い……


「「ひいいい!! あんなウサギさんは嫌ァ―――っ!!」」


ギャーと叫びながらそう言う栗田とセナ。



『お おっとここで赤組わずかにリード!!』



鬼とカッパのペアから、ミイラ人間のペアにバトンが渡った。


「行けー! 石丸さん!!」

補足3:石丸さんは、陸上部所属の高2の先輩である。
訳ありでアメフトの助っ人をしたことを期に、自動的に蛭魔がアメフト部の部員にしてしまったのだ。


「石丸先輩の着ぐるみは…あれ透明人間か」



『しかし その透明人間の後ろから……? 白組の選手が一気に押し上げる!!』



「おお! 陸上部の石丸を抜いたぞ!!」


抜いたのは、豚と犬の着ぐるみを着た選手である。


「中身何だあれ!? あの犬と豚……」


走ってく途中でボロボロと着ていた着ぐるみが取れていき、最終的に走っていたのは……


「「「「犬と豚だーーーー!!!!」」」」


『とんかつソース』がくくり付けてある豚を追いかけている、蛭魔の愛犬(野良犬です)ケルベロスであった。


「「着ぐるみの意味ねええーー!!」」

「いやいや、突っ込む所そこじゃないと思うよ……」


ハモらせながらそう言うセナとモン太に軽くツッコミを入れる名前。


「あれはルール違反じゃ……?」

「ルール違反じゃないよ……な?」

「は、はい」


『脅迫手帳』と書かれた黒い手帳を片手に、ウサギはアナウンス担当の先生に話す。

(脅迫手帳で先生脅すなよ……今に始まったことじゃないことはわかってるけどな……)


そう思いながら名前はみんなの走りを見ていた。

最終的には、アンカーで走った大仏と壺のペアが追い抜き 逆転勝利を収めた。


「きーーーー憎たらしい! これで勝ったと思ったら大間違いだよ!!」

「問題は最終競技の騎馬戦でヤンスからねぇ〜〜」

「ヤンス!?」

「ふ、2人が壊れていく……」


こうして、体育祭の勝敗は最終競技である騎馬戦へと持ち越されたのだった。




*オマケ*


「えらいノリノリだな」


皆がいない横で、名前が呆れて二人に話した。


「結構芝居かかってんなぁ〜」


と、風船ガムを口含みながら話す。


「えへへ……」


テレて頭をかく雪光。


「もう 恥ずかしくて死にそう……」


涙を流しながら、両手で顔をおおうまもり。


「まもり先輩! もう少しの辛抱ですからっ!」


そんな彼女にフォローの言葉をかけながら、名前は焦っている様子。


引越日:2013/12/20

 

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