◎呂場パニック
ねぇ、貴方は私のことどう想ってるのかな……
仲間……でしか見てないのかな?
私は、貴方の事が
好きなのに……―――
呂場パニック
「もうそろそろ帰ってくる頃だな……」
初めまして、私の名前は名前。何処にでもいる女の子、と言われてます。
今誰の帰りを待ってるのかっていうと、多くの人たちが恐れられている七人隊の皆。
―でも、私は全然怖くないよ。だって、皆優しいから……
「ただいまー!」
(! 帰ってきた)
名前は、急ぎ足で玄関の方へ向かった。
―その時。
「蛮ちゃ〜〜ん! お帰り〜〜〜♪」
ドタドタと走っていき、名前を追い越して玄関の方へ向かい、蛮骨に抱きついた少女。
彼女の名前は友人1。最近七人隊に入ったばかりの子で、蛮骨がお気に入りのようだ。
好き、かどうか分からないようだが……
「離れろ! 返り血が付くだろう」
「いいのいいの!」
「全く、服を洗うこっちの身も考えてくれよ」
と呆れながら蛮骨の後ろから現れる煉骨。
「おかえり煉兄、お呂の用意できてるよ」
「あぁ、分かった」
名前は、他の皆を部屋に入れていった。時々、チラッと蛮骨の方を振り向く。
まだ友人1が離れなくて、必死に降ろそうとする蛮骨。
そんな2人を見ている名前の目は、少し淋しい目をしていた。
できるのなら、自分も同じことをしてみたい……
大好きな人に抱きつくこと自体、私には無理に等しいことだからできないけれど……
―時はあっという間に過ぎていき、夕方。
夕食が食べ終わり、名前は食器を洗っていた。
「おい名前、いるか?」
「ん? どうしたの、蛇こ兄」
「もう風呂は皆入ったからよ、早く入れよ。煉骨の兄貴が、風呂の湯を使って武器を洗うからって」
「でも……まだ片付いてないし……」
名前は未だになくならないであろう食器の山を見つめる。
その様子に、蛇骨はクスッと笑みを浮かべる。
「俺がやっておくから、行けよ」
「いいの!? ありがとう! じゃ、後は宜しくね!」
名前は、タオルを持って呂場へと向かった。
「あれ〜? 名前は?」
それからしばらくして、友人1が台所に顔を出しに来た。
「名前なら、さっき風呂場に行ったぞ」
「うそ……今、蛮兄が入ってるんだよ?」
「そうかそうか〜……て、はあ!?」
蛇骨は目が点になった。どうやら彼は、取り返しのつかないことをしてしまったようだ。
その頃、名前は呂場の前にぐしゃぐしゃに置いてある仲間の服を畳んでいた。
「……これでよし。早く入ろう、暑くて汗まみれだよ」
名前は、服を脱ぎ端に寄せ、タオルを持って風呂場のドアを開けた。
―ガラッ
「ば……蛮兄!?」
「名前! 何でいるんだよ!!」
お互い、目の前に現れた人物に驚きを隠せないでいた。
それに加え、二人は服を身につけていない。風呂場なのだから当り前なのだが……
「ご……ごめん! 今出る所だったんでしょ? 邪魔してごめんね! …じゃあッ」
蛮骨は、この場を立ち去ろうとする名前の腕を引っぱり、抱き寄せながら一緒に呂場に入った。
―ピシャッ
「待てよ……」
それからしばらく、蛮骨は名前を離さないでいた。
「ば……蛮兄……?」
「ずっとに邪魔されて、言えなかったんだけど……友人1と一緒にいることで、お前が傷ついていたことは前々から分かってたんだよ。あんまり寂しい顔してると、こっちまで寂しくなるんだ……お前の事が、好きだから……」
名前は目を見開き、顔が赤く染まっていく。
「蛮兄、それ……本当?」
「あぁ、嘘じゃねぇ」
「私も……蛮兄の事が……好きだよ!」
「名前……知ってた」
蛮骨は、自分の腕の中にいる名前を少し力を込めて抱きしめた。
「ヘックシュン!」
蛮骨のくしゃみで我に返る名前。
「蛮兄……湯冷めしちゃった?」
「……もう1回入る」
「えッ!? それじゃあ……私は…」
「一緒に入るか?」
ニヤリと笑う蛮骨の誘いに、今まで以上に顔を赤くする名前。
「へ、変な事しないでね」
「さー、どうだろうな〜」
この後の話は
貴方の想像にお任せしよう。
〜E N D〜
(制作日:不明)
修正日:2009/5/8
引越日:2013/12/20