良き理解者

 
どうもこんにちは、名前と言います。

突然ですが、困っています。話せば長くなりますが、今の状態だけでもお話ししておきましょう。

今は放課後。ここは教室で、私の使っている机の上で肘をついて困り果てている親友がいる。

最近色んな事件に巻き込まれているアシタバっていう人。


「名前、どうしよう……」


だから、私に『どうしよう』って言ってこないでくれないかな……

私にどうしろと?


「ハァ……」

「た、溜め息!?」

「だって……」


そもそも、こう呆れてため息をつきながら涙目になっている理由が分からないんだもの。

もう一度言おう。私にどうしろと?


「じ、じゃあ……話すよ」

「うん。どーぞ」


ゴニョゴニョと言っていて聞き取れない部分もあったけれど、要はこれだ。仲良くなった友達が、あの顔が恐くて有名になった保険医のハデス先生のことに想いを寄せている……らしい。

『鏑木さんじゃなくって?』と聞いたら、アシタバは顔を横に振った。どうやら私の知らない子みたい。

とても仲良くしてもらっている子だから、何とか力になってあげたいんだとさ。

すっごく他人事のように思うけれど、アシタバにとっては他人事ではないんだよね。

だって、今のアシタバ……すっごく真剣なんだから。


「この前相談されて……何かアドバイスしてあげたいんだけれど、どう言ってあげればいいのか分からないんだ」

「まったく……」


そういう時に頼ってくる我が親友に呆れながらも、私はすこし考えた。


「アシタバってさ、恋愛をどう考えてる?」

「れ、恋愛!? う、うーん……」


ありゃりゃ、更に困らせちゃったみたい。

アシタバってこういうのに疎いんだから……


「純粋に、誰かが好きっていう気持ちと……特定の人が好き、っていう気持ちは、同じようで全く違うのは分かる?」

「う、うん……」

「多分、アシタバの話していた子が持っている気持ちは、後者の方だと思うの」

「な、何で分かったの!?」


あ、やっぱり。話を聞いた感じ、なんとな〜く思ったことを言っただけだったのに。まあそれに気付いたアシタバもアシタバだけど……ま、雰囲気で気付いたっていうのもあり得るかもしれない。


「あまり他人の恋愛に、手や足や顔を出したくはないんだけれど……」

「うぐッ……」


あれ、アシタバが変にダメージ受けてるみたいだけれど……あえて気にしないでおこうか。


「私から言えることは、素直でいること……かな」

「素直?」

「ありのままの自分を見てもらって、好きになってもらった方がいいと思うの。相手の負担にならないように、自然にふるまえばさらに良い。優しさとか、気づかいとか……そうすれば……」


好きになってもらえるかもしれない。

それが教師と生徒の仲を超えていても、周りに迷惑をかけなければ良いと思っている。


(ま、バレなきゃの話だけど……)


「アドバイスありがとう! やっぱり持つべきものは友だよ!」

「大げさすぎ、良き理解者として助言をしてあげただけ」

「それでも大助かりだよ! ありがとう」

「そうかい。じゃ、そろそろ帰る?」

「あ、そうだね」


時計を見て、私たちは教室から出る。


―良き理解者―


今の私たちには、この関係が一番取りやすいと思う。私の場合は、だけどね。


END

あとがきと言う名の言いわけ

アシタバで恋愛物はムリ。
最初に出したのがコレでし(お前サイテー

だったら、何かしらテーマをつくって親友設定ならギリギリOKだろうと思って作りました。
はい、どうしようもない管理人でゴメンナサイ。
盛大なるバック転土下座をもれなく披露したいと思います(いや、無理ですから。ホンキニシナイデ

というわけで、これはフリー小説となります。(こんな小説欲しいと思ってくれる方が何人いるか分かりませんが……)
(※フリー配布は終了してます)

掲示板やメールで報告してくださると更に良いです。
ではでは、この辺で失礼いたします。

管理人・夜桜

制作日:2010/5/10
引越日:2013/12/20

 

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