自分にとっての彼女の存在



時間を操ることができる。

それだけで興味が湧いたのは事実。

けれど、僕の中にある彼女の存在は……とてつもなく大きくなっているんだ。

この感情は、一体……?





「また、お茶の研究ですか?」

「うん……まあね」


休み時間、いつものように仕事をやりにやってくる名前さん。

彼女はアシタバくんたちとは別のクラスの子で、保健委員に入ってくれた優しい子だ。

そして、彼女は普通の子ではない特徴がある。


―時間を操ること―


物の動きを止めることができる、ということ以外はなぞに包まれている特殊な能力。

それだけで、僕の彼女に対する興味が生まれたのは事実だ。最初はそれだけのはずだった。最初は――


「お茶も良いですけど、一緒に出すお菓子を少し変えてみてはどうですか?」

「? お菓子、か……」

「はい! おせんべいばかりではなくかりんとうとかマシュマロとか……あ、そう考えると他にも良さそうなお菓子ってありそうですね」


目を輝かせながら話をする名前さんは、とても魅力的だと思った。

なぜか、惹かれてしまう……


「じゃあ、今日の帰りにでもいくつかお菓子を買ってみようかな……」

「それは賛成ですね!」


話しながらも、動かしている手は止めることはない。

名前さんが保健委員として入ってくれてから、作業が早く感じる。

これも、彼女のおかげなのかもしれない。


「ちなみに、名前さんは今日の放課後……」

「空いてますよ? あ、一緒にお菓子を買いに行こうというお誘いですか!?」

「え、あ、うん……そうだね」

「はい! 是非、お供させてください」


嬉しそうに声を上げる彼女に、僕の鼓動が大きく高鳴る。

一体、どうして――――



―キーンコーンカーンコーン



自問自答をしていると、休み時間終了のチャイムが鳴った。


「あ、そろそろ教室に行かないと……」

「続きの作業は、次の休み時間で構わないよ。早く行きなさい」

「はい! 行ってきます」


手を振り、名前さんが保健室から姿を消す。


「行ってきます、か」


その言葉を繰り返し、小さく笑みを浮かべる。

時々だけど、いつの間にか彼女のペースに飲まれてしまうことがある。今だってそう……

それがまた、良いと思う僕がいるのに驚きだ。些細な会話をするだけで、同じ空間にいるだけで、こんなにも"満たされる"と思える自分がいる。

この感情に名前を付けるなら――


「早く、次の休み時間が来ないかな……」

(名前……)


心の中で彼女の名を呼ぶ。口にするのは恥ずかしいから、今は想っている心の中だけ。

いつか、そう彼女の名前を呼ぶ日が来るのだろうか。そういう日が来てくれることを、密かに願いながら……


「さて、続き続き……」


僕はもう一度、お茶づくりの研究をすることにしよう。

今度は、名前さんが喜びそうな……美味しいお茶の味を考えながら……


END


あとがきと言う名の言いわけ

ハデス先生が、なんとなく気になっている生徒に対する想いを言葉として表現するならこんな感じだろうな〜と思って作ってみました。
告白とか、どういう雰囲気でどういった感じで書けばいいのか未だに分からないんで←
今はこれくらいで勘弁してやってください。お願いだから石投げないで……

というわけで、これはフリー小説となります。(こんな小説欲しいと思ってくれる方が何人いるか分かりませんが……)
(※配布は終了してます)
掲示板やメールで報告してくださると更に良いです。
ではでは、この辺で失礼いたします。

管理人・夜桜

制作日:2010/5/10
引越日:2013/12/20

 

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