戦いの後は……

 
とある極秘会社から、裏企業のDVDを運ぶように依頼された赤屍と名前。


「前は卍七兄弟に邪魔されましたが……今日は出てきませんよね……」

「さあ、分かりませんよ……」


そんな会話をしながら荷物を車で運んでいると、案の定…卍兄弟に囲まれてしまった。




戦いの後は……




車を囲んだのは、取り屋である卍10兄弟だった。前に会った卍兄弟と違い、異様な殺気を出していた。


「赤屍さん…気をつけてくださいね。こいつら今までの卍一族の奴らとは違いますよ」

「不歯葉母!! その通り、我ら卍10兄弟! アフロディーテを使い、パワーアップをしている! そんな我らに敵なし!」


えばるように言う卍兄弟に、赤屍はクスッと笑った。


「そうですか…楽しみですよ、これまでとは違う卍一族の方と戦えるなんて、ね」

「いざ勝負!!!!!」


赤屍と名前が車から降りると同時に、卍兄弟が武器を構えて襲いかかってきた。


―はぁ〜早く帰りたいのにな〜―


そう思いながら、闘っていたのがいけなかった。


「きゃあ! 何するのよ」


名前は、いきなり卍兄弟の一人に後ろから押さえつけられてしまった。


「名前さん!」

「苦句九区! 返してほしければそのDVDを渡すんだな」


卍兄弟の一人が、名前の喉元にナイフを当てて言う。


「だっだめですよ…。渡さないでください。私は大丈夫ですから」

「ですが名前さん…」

「私は…赤屍さんを信じていますから」


微笑む名前を見て、赤屍は吐息を一つついた。


「分かりました。名前さん、動かないでくださいね」


そして赤屍は、片手を横に広げた。


「ブラッディ・ハリケーン」

「ギャーッ!!!」


一瞬にして卍10兄弟は倒れた。


「すごいです! 赤屍さん!! 早くDVDを届けに行きま───」


─ドスッ


しかし、名前を押さえつけていた卍兄弟の1人が生き残っていた。


「しまった…一人…見逃して……」


彼の腕には、腹をナイフで刺されて血だらけになってしまった名前の姿がある。


「名前さんっ!」


流石の赤屍も、この状況に驚きを隠せないでいた。


「不歯葉母! 甘かったなDrジャッカル。お前のパートナーは血だらけだぞ!」

「許しませんよ。あなただけは」


怒りを隠しきれなくなった赤屍は、手から赤い剣を出した。


「ブラッディ・ソード」


赤屍はふっと後ろに回りこみ、卍兄弟の背にJのマークを付けた。

その後に、卍の残りに向かって剣でトドメを差した。


「ぎゃーーーー!!」


そのまま卍の生き残りは息絶えた。

生きていないことを確認すると、赤屍は急いで未来の方へと駆け寄る。


「名前さん! 大丈夫ですか?」

「うっ…」

「名前……さん?」

「あっ…赤屍、さん?」


名前は無事だった。赤屍はホッと胸を撫で下ろした。


「大丈夫ですか? 名前さん」

「なっ何とかですけど…。いっ痛っ……赤屍さん、動けないようなのですが」

「傷を負っているんですよ。すみませんでした。私のせいで…。」


申し訳なさそうに言う赤屍に、名前は腕を振った。


「そんなことないですよ。それに、大丈夫です。私の不注意なんですから。気にしないでください」

「ですが…」

「大丈夫ですって。それより赤屍さんはそのDVDを届けに行ってください」

「――分かりました。あなたを病院に連れて行ってからですがね」


目を丸くしながら名前は言葉を続けた。


「えぇ!? でも……依頼の品は…」

「病院に寄ってからでも、十分に間に合いますから。」


赤屍に抱きかかえられた名前は、何も抵抗できないまま病院へと連れて行かれた。







*******







数日後


とある病院には…入院した名前と、それを看病する赤屍の姿があった。

傷は意外と深くなく、重傷には至らなかったようだ。


「無事に依頼も終わりましたし、良かったです」

「そうですね。早く復帰してくださいね」

「はい、分かりました」


その返事と同時に、赤屍はウサギ型に切ったリンゴをメスで刺して名前に向けた。


「はい、名前さん♪」

「え、まさか…食べろと……?」

「もちろんですよ」


名前はダーと涙を流しながら、赤屍が剥いてくれたリンゴを食べるのだった。


(前に入院した銀ちゃんの気持ちが…分かった気がしたな……)





*END*
製作日:2005/7/12
引越日:2013/12/20

 

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