七夕祭り

 
梅雨が明けたというのに、まだ雨が降るこの時期。

名前は、洗濯物がたくさん入っているカゴを外に出していた。


―やっと晴れたし、洗濯でも干すとするか―


外に出て洗濯物を干していると、外で着物を着ている女性達が行き来している姿が見られた。


「…そうか、七夕――だったっけ」


そう呟きながら、名前は空を見上げる。

雲がチラホラとあるが、夕焼け空だけは綺麗に見えていた。




七夕祭り




―ピンポーン―


すると、玄関のチャイムが鳴った。


「はい? どなたですか?」

「私ですよ、名前さん」


―ガチャ―


「どうしたんですか? 赤屍さん?」


少し驚きながら、名前は訪問者である赤屍に聞いた。


「名前さんv見せたいものがあるんですけが…時間ありますか?」

「それなら大丈夫ですよ。ちょうど洗濯も終わりましたし」

「じゃあ行きましょう名前さん」

「はいっ?」


いきなりの話の展開に、名前は話の流れに追いついていないようだった。


「ここでは見せられないモノですので、行きましょう。そうそう、是非浴衣を着てきてくれませんか?」

「え? え??」


頭の上にいっぱい『?』を浮かばせている名前に、赤屍はクスッと微笑みながら言った。


「今日は、七夕祭りでしたよね?」

「あ〜…え、知っていたんですか!?」

「勿論ですよ、名前さんの浴衣姿が見たかったもので…」

「は…はい、分かりました」


顔を赤くしながら、名前は自分の部屋へと入っていった。

幸い、母から貰った浴衣を保管していたので、その浴衣を着ていくことにした。


「お、お待たせしました」

「嗚呼、実に美しい…とても似合ってますよ」

「あ…ありがとうございます…」


顔を赤くしながら、名前は頬をかいた。

名前の着る浴衣は、桃色の花が刺繍された大人の女性が着るような浴衣だった。


「あの…何処に行くんですか? 赤屍さん?」

「行けば分かりますよ。楽しみにしていてください♪」


赤屍に手を引かれるように、雨上がりの道を歩いていった。







*******







七夕祭りが行われるお寺の近くにある公園の中。


「あれ、公園ですか?」

「えぇ。もうすこし歩きますが平気ですか?」

「平気です! 仕事に比べたら全然余裕です」

「そうですね」


赤屍はクスッと笑うと、先へ続く道を歩いていった。







*******







「名前さん、こちらです」

「何ですか? 私に見せたいものって?」

「これですよ」


そこにはアジサイの道が出来ていた。雨の雫が夕焼けの光によってキラキラ光っている。

名前は目を光らせた。


「すごい綺麗! まるで宝石みたい!」

「気に入っていただけましたか?」

「はい! とても」

「それは良かった。名前さんはこういうのが好きですから…連れてきて良かったです」

「大好きです赤屍さん!」


名前は赤屍に思わず抱きついた。


「私もですよ、名前さん」


赤屍は抱きついてきた名前を優しく抱き寄せた。


「しばらくこのままでも…良いですか?」


名前は顔を赤くしながら、小さくつぶやくように言う。

その言葉は、赤屍にはっきりと聞こえていたようだ。


「えぇ良いですよ。私は名前さんを離したくないですから」

「ありがとう。赤屍さん」


そのままで時間は少しずつ過ぎていった。


「七夕祭りがやっているんでしたよね、一緒に行きましょう」

「えぇ、勿論」


赤屍は少し距離を取ってから手を差し出す。名前も答えるかのように、その手を握った。


「帰ったらお礼として食事を作りますね」

「楽しみにしていますよ♪ 名前さん」

「はいっ」


二人はゆっくりとさっき来た道を歩き出して、寺へと向かった。







*******







七夕祭りが行われている寺には、顔見知りが何人もいた。


「蛮さんに銀ちゃん!」

「んあ! 名前ちゃん!! 綺麗な浴衣だね〜」


最初に会ったのは、蛮と銀次だった。


「ケッ クソ屍もいやがんのかよ…」

「おや、いけないのですか?」

「あらら! 皆勢ぞろいね!」

「名前さ〜ん!」

「夏実ちゃんにヘヴンさん!」

「私も忘れないでね」

「勿論ですよ、卑弥呼さん」


次に、夏実・ヘヴン・卑弥呼と仲間が集まりだした。

その後、皆と一緒に祭りの人だかりを歩いていった。

そんな中、名前は赤屍と見えないところで手を繋いでい歩いて行った。




製作日:2005/7/4
引越日:2013/12/20
いつもだと思うが、文がねぇ……
もう少しまとめても良かったと思うが……そこは多めに見てやってください。
さて、もう少しで七夕ですよ。
少し早めな七夕のお話は、楽しんでくれましたかな?

 

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