▽ 分担して買い物に向かう
 

「それじゃ、それぞれ分担して調達しましょう」


これは、彼らがリオンを説得に向かおうとオベロン社の工場へと向かう前の物語。


「俺たちは、武器や防具を買い揃えればいいんだよな?」

「しっかりと人数分、買ってくるぜ!」


そう話しているのはスタンで、意気込んでいるのはコングマンのようだ。

彼らの後ろには、ウッドロウとチェルシーが立っている。


「ウッドロウ、チェルシー。二人が暴走しないよう、見張っててよね」

「分かっているさ」

「お任せください! ハルミさんやルーティさんは、食料をお願いしますね!」

「うん、分かった。新鮮なものを選ぶよ」


ニコリと微笑むハルミに、ルーティとマリーとフィリアが横に並んでいる。

この女性陣が、今回の食料調達班のメンバーのようだ。


「では、買い揃え次第合流しよう。ハルミ、また後ほど」

「うん。また後で」


微笑み会う二人の纏う空気は、どれも甘いものばかりだ。だが、今回の場合は不思議と安心してしまいそうな……心安らかにさせてしまう暖かさがある。

そうチェルシーは感じながらも、手を振ってルーティ達と別れた。

この一連の小さな騒動は、大々的に騒がれることのないモノではあったが当人にとっては小さくも衝撃を受けるには十分すぎる出来事が起きた、とある日常の一コマである。




短編:モテ男・モテ女対決?




ハルミたちと別れたウッドロウたちは、近くの城下にある武器屋と防具屋へと足を運んでいた。

どれもこれも高価なものばかり……流石セインガルドと呼ばれる大国だと思いながら品物を選んでいく。


「おいスタン、これなんかどうだ? 俺様にピッタリだろ?」

「うんうん、いい感じだな! あ、これなんかどうだ?」

「どれどれ……」


いざ店に入ったは良いが、彼らの選ぶものはどれも男物ばかり。中にはズボン一着だけの代物まで選んでいるときた。


「もう、お二人は分かってませんね! 私みたいなレディもいるというのに!」

「我らでハルミやルーティ君の防具を選ぶとしよう」

「はい! ウッドロウ様!」


キャッキャとはしゃぎながら、女性用の武器や防具を眺めていく二人。

まあハルミの場合は、ドレスフィアがあるので武器や防具は必要ないのだが……必要最低限の防寒着だけでも選んでおこうとウッドロウは思いながら、彼女に似合う服を選んでいく。


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