01

 

ミッドガルの中に入り、辺りを散策するように歩いていると、一つの建物の前に差し掛かった。


「へ〜、壊れていない建物もあるものだね……」


そう呟くアズールは、ギギギ……と扉を開いた。ここは教会のようだ。だが、天井は崩れていた。そして、教会の奥には綺麗に咲く花がたくさん植えられている。

目を凝らしてみると、その花の前に一人の女性ともう一人、少女がいた。




FF連載 sideB
〜教会と思念体の定め〜




「あなたは……?」


女性がアズールに問う。


「あ、あの……別に怪しいものではないですからね」


少し警戒され、アズールはドキドキしながらそう話した。


「お花を見に来たの?」


少女が、タタタッと駆け寄ってそう聞いてきた。


「こら、マリン!」

「大丈夫だよ、ティファ。このお姉さん、良い人みたいだよ?」


マリンと呼ばれた少女は、ティファと呼んだ女性にそう言った。


「こういう場所に、花が咲いているのは珍しいな、て思って……」

「このお花はね、花売りのお姉ちゃんが育てていたお花なの」


マリンは、アズールの手を引きながらそう言った。

アズールは、マリンに引かれて花が植えられている場所まで連れて来られる。

白と黄色の花が綺麗に咲いている。崩れた天井から射しこんできている光を受けてキラキラと光っていた。


「花売りのお姉さんは、今どこに……?」

「それは……」


答えようとしたマリンの顔が暗くなる。何か、悪いことでも聞いてしまったのだろうか。


「二年前に、ある事件に巻き込まれてそのまま……」


マリンの代わりに答えたのは、花の隣に置かれている荷物を見つめていたティファだった。


「そうか……思い出させてゴメンなさい」

「大丈夫!」


ニコッと笑ってマリンは答えた。


「お姉ちゃんは、ずっとここにいるの!」


そう言って、マリンは自分の胸を指す。


「そうか、そうだね」


幼い少女なのに、人の生死を真っ直ぐ受け止めている。その姿が、少し大人っぽくアズールの目に入っていた。



〜♪〜〜〜〜♪〜♪〜〜



すると、アズールの持つ携帯が鳴った。

ディスプレイを見てから、アズールは電話に出た。


『アズール、今話して大丈夫だよね?』

「……早かったね。今何処にいるの?」

『ヒーリンていう場所に……ここに社長がいるって聞いてきたんだ。簡単に場所を話すから、早くおいで』

「分かった」


電話の相手は、カダージュ。ヤズーたちと別れてそのままバイクで目的地に行ったようだ。

簡単に会話を済ませて電源を切ると、マリンに言った。


「ごめんね、用事が出来ちゃった。また来るから」

「うん! もっとお話しようね!」

「そうだね、約束」

「やくそく〜!」


マリンと指切りを交わし、ティファに一礼をしてから アズールは教会を出て行った。


「ね? 良いお姉ちゃんだったでしょ?」

「そうだね」


そう、二人の会話を耳にしながら……



 


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