01

 
ミッドガルが見える小高い丘にバイクが三台止まった。

そのバイクには、四人の人影が見える。


「なあ、カダージュ。あれが兄さんの街か?」


少し間を開けてから、四人の中の一人・ヤズーが隣にいるカダージュに問う。


「ああ」


カダージュは、目線をミッドガルに向けながら答えた。


「歓迎してくれると思うか?」

「無理無理」


少し笑うように、目を伏せてカダージュはそうヤズーに答えた。

カダージュの後ろに座るアズールは、何も言わずに皆の会話を聞いているようだ。


「泣くなよヤズー」


ニッと笑いながら、ロッズがそう言う。


「母さんも一緒なんだよな?」

「‥‥どうかな」

「泣かないの、ロッズ。男でしょ?」


溜め息をつきながらアズールはロッズに言う。


ロッズは、「ゔ、」と言いながら泣くのを絶えているようだ。自分で『泣くな』と言っておきながら、何故自分自身が泣くんだよ、と心の中で突っ込みながら。




FF連載 sideB
〜兄さんと姉さん〜




「ほら、兄さんだ」


遠くからバイクが走る音が聞こえ、カダージュは顔を横に向けて皆に話した。


「待ちやがれクラウドー! 途中まで一緒に行っても構わなねぇだろーがー!!」

「いちいちやかましい奴だ」

「あ゙ぁ!? 今何て言ったテメーッ!!」


兄さんと呼ばれた男・クラウドを追う一台のバイク。

青い点ランプが目印のバイクを操縦する女性が、クラウドに怒鳴りながら走る。


「僕たちは運が良いね。姉さんにも会えたよ……」

「姉さん……!?」


アズールは驚きながら、女性を見た。燃え上がるような赤い髪が特徴的な女性だ。

バタバタと靡いているコートには何かがプリントされているようだが……そこまでは確認できない。

その時、カダージュたちはアイコンタクトを交わすと、ヤズーとロッズが崖からバイクで走り降りた。


「あの二人、何しに行ったの?」

「兄さんと姉さんに挨拶にね……僕はこっちに用があるんだ」


カダージュは、懐から携帯を取り出した。


「確か……"社長"ていう人に聞いてここに来たんだっけ」

「そう。でもこの様子だと、兄さんも姉さんも"母さん"は持っていないようだね……」


カダージュは番号を押しながら、そう言った。アズールは、しばらくあの四人の戦闘を見ている。


「私にはこんなデカイ兄弟はいないっつの!! 聞いてるか!? クラウド!!」

「黙れ、感に触る」

「んだとコラァァァァ!!」


そう叫びながら戦う姉さんは、とても綺麗だと思った。

追い詰められているというのに、何であそこまで楽しんでいるのだろうか?


「――もしかして、僕をだました?」


カダージュの方へと目線を動かすと、彼は電話に出た相手に問い詰めていた。


「やっぱり母さんはそっちなんだろ?」

『────!』

「クス、怒鳴るなよ……あんたとは話したくない。社長に代わって」


電話から声が漏れる。若い男の人のようだ。

カダージュが話した"社長"という人が、自分たちの"母さん"を持っているのだろうか。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -