01

 
目を覚ますと、そこは夢の中で見た白い空間だった。


―ここは……?―


『やっぱり、来ちゃったね』


少女の声が聞こえ、アズールは聞こえてきた方を見た。そこにいたのは白いワンピースを着た金髪の少女。手には、クレヨンと少し大きめの紙が握られていた。


―夢の中で、私に声をかけたのは……アナタ?―


『うん、そうだよ。そして君は、この世とあの世の境にいるの。死んだわけじゃないから』



自分の手を見るアズールに、心配そうにそう付け足す少女。その少女の隣には、横になっているカダージュがいた。




FF連載 SideB
〜絵を描く少女〜




―カダージュ……!!―


『大丈夫、気を失っているだけだから。もう少ししたら目を覚ますよ』



アズールの事を思ってか、少女はそう言いながら紙に絵を描いていく。


―アナタは……誰?―


『この空間を見守る番人。ココを管理している人の代わりにいるだけ、なんだけどね』


簡単に絵を描いた少女は、描いた紙を宙へと浮かせる。

すると、紙は円を描くように少女の周りを大きく回った。


―……アズール?―


―!! カダージュ! 気がついたんだね!―


―ここは……?―


起き上がったカダージュを支えるように、アズールが傍へと寄っていく。


『あの世とこの世の境、だよ』


―君、誰……?―


身構えるカダージュに、アズールは簡単に説明する。



―ここを守る番人なんだって―


『―――あなた達、もしかして願いがある?』


―願い……だって……?―


突然の質問に、カダージュたちは驚いているようだ。彼らが望む願いは、ただ一つ―――


『あるでしょ? 隠さなくていいよ』


―……姉さんに、謝りたい―


立ち上がりながら、涙を流してアズールは訴えるように言う。


『謝る? 何を?』


―姉さんの大切な人、たくさん傷つけた……だから……!―


『アナタの言うお姉さんって、血が繋がっている人? それとも、尊敬する人?』


―さあ、どっちだろうね……―


少女の問いに答えたのは、カダージュだ。


『でも、一回だけだったら……会えるよ』


―ほ、本当に!?―


『うん。またココに戻ってくることになるけど……会いたい? 二人とも』


首を傾げる少女の前に、一枚の絵が通り過ぎて行った。

その絵には、カダージュたちがサトミと一緒にカレーを食べている絵だった。


―お願いします……!―


『じゃ、行ってらっしゃい』


少女に見送られ、二人は瞳を閉じた。







 


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