01
─キィン……キィン……!
空中で、武器がぶつかる音が響く。
「返しな!」
刀を大きく振り上げながら、サトミがそう叫ぶ。
「返しません! やっと見つけた…私たちの光なんです!!」
アズールは腰につけていた刀を握り、お互い睨み付けるように刃を交えていた。
「もし、母親に会えても……その後お前らはどうする気だ!!」
「その時は、母さんが教えてくれますよ……」
本当は…この先何が起こるのか分かっている――
だがそれを振り払うように、アズールはカダージュが乗るバイクに降り、サトミは空中で受け身を取った。
「クソ……逃がさねぇぞ!!」
風を纏うサトミは、ずっと先を走るカダージュたちが乗るバイクを追いかけて行く。
「カダージュ! 早くしないと追いつかれるよ!」
「分かってる!」
そんな会話をしている時、平行に並ぶ高速道路の奥から大きな爆発音が聞こえた。
アズールは驚いて振り返ると、爆風と共に一台のバイクが目に入った。
FF連載 sideB
〜争奪戦〜
バイクに乗っているのはクラウド……彼の姿を確認したカダージュは、ギュッと箱を握る。
「アズール! 捕まってろ!」
「うん!」
着地すると同時に、クラウドはカダージュたちのバイクとぶつかりお互い刃を交える。
睨みつけながらの戦い…だが、高速道路は長く続いておらず、途中で道が切れていた。
「カダージュ……落ちるよ……!!」
アズールの言葉と同時に、二台のバイクはそのまま崖の下を滑り落ちていく。
そして、カダージュたちが乗るバイクはそのまま先へと走って行った。
****
「母さん!」
着いた場所は、半壊されている教会。
陽の光が届かないこの場所には、珍しく花がたくさん咲いていた。
そしてアズールが、一度だけ訪れたことのある場所だった。
「全く、最近運転荒いんだからさ……もうちょっと注意してよね。カダージュ……?」
バイクから降りたアズールは、カダージュのほうを向く。
すると、カダージュは抱きしめていた箱の亀裂から見えた"母さん"を見て顔を青ざめていた。そして、アズールもその亀裂から"母さん"を見る。
その亀裂から見れたのは、
「そ、そんな……ッッ!!」
ジェノバの首が射抜かれた無残な光景だった。
「母さん…? 母さん……!!」
「母さん……」
カダージュは箱を抱え、アズールが手を震わせてそれを見ていた時だ―――
ドアを蹴破るように、クラウド達が乗るバイクがやってきたのだ。
「アズール! 乗れ!!」
カダージュは、クラウドたちに気付いて手を振り上げた。
マテリアが埋め込まれている手から放たれた光によって、近くの柱が崩れて倒れる。
それを間一髪でよけるクラウドたちだが、倒れた柱の上に乗って上って行ったカダージュの攻撃を、避けることができずにそのまま受け止めてしまった。
クラウドの乗るバイクは宙を舞い、花畑はカダージュの攻撃で崩れて飛ばされてしまった。
「くっそ……」
少し遠くに飛ばされて腕を痛めたサトミは、壁に背中を預けるようにして立ち上がる。
(姉さん……)
狂気になっていくカダージュの手から、攻撃をする光が見えた時…奇跡が起きた。
─ザッパーン!!
花畑があった場所から、突然水が溢れ出し教会の中だけ雨を降らせた。
「な、何……? この雨……」
「離れるよ!」
「あ、うん!」
突然の展開に、カダージュとアズールは驚いて教会から離れていった。