01

 
周りが白く、浮いている感覚がする……

辺りを見渡しても、何も見当たらない……白一色に包まれていた。

すると、浮き上がるように目の前に少女が現れた。白いイスに座る、白いワンピースを着た金色の髪の少女。

彼女の手には、スケッチブックとクレヨンが握られているようだった。


『君は………』


声をかけると、驚いて少女は振り返った。

そして少女は、口を動かす―――


「              」


それを見届けて、アズールはまた瞳を閉じた……




FF連載 sideB
〜ミッドガル〜




「アズール……アズール……!!」


カダージュに起こされ、アズールはゆっくりと目を覚ます。


「……あれ、カダージュだ。もう終わったの?」

「随分前にな……」


カダージュの後ろに立つヤズーがそう補足する。


「ごめん。迷惑かけて……」

「別に。迷惑なんて、思ってないしな」


ぶっきらぼうに言うヤズーに、コクコクと頷くロッズ。

二人とも、カダージュ同様かなり気を使ってくれているようだ。


「最近……不思議な夢を見てて……」

「夢?」

「うん」


支えられながら、ゆっくりと立ち上がるアズール。


「いつも白い服を来た女の子がいて……何か言ってるんだけど……」

「分からないのか?」

「うん。聞こえてこないんだよね……」


首をかしげて、頭の上に『?』を浮かべるアズール。


「話変わるが、これからミッドガルの方へ向かう。準備して来い」

「あ、はーい!」


武器の手入れを簡単に済ませるヤズーが言い、アズールは元気よく返事をして湖の奥へと向かった。

奥には小さな家があり、そこにアズールの武器が置かれているのだ。

やっと戦える。そう思う反面、夢のことが気になっているアズール。


「何て言ってたんだろう……」


武器を手に取ってから立ち止まり、思い出しながら唇を動かしてみる。




『ここに来るの、早すぎるよ』




そう、確かに彼女はそう言っていた。


「ここって……? 早すぎるってのも気になるな……」


だが、ここで考えても何も始まらない――

そう判断すると、アズールは武器を手に持ってカダージュたちの元へ向かう。

話を聞くと、どうやら二手に分かれて行動をするようだ。

ヤズーとロッズは、"母さん"がいるであろう記念碑の場所へ……

カダージュとアズールは、神羅の社長と接触をして話をする。ということだ。


「きっと、ヤズーたちが姉さんたちと接触する確率が高いね。手加減しないようにね」

「分かってるって!」


ニッと笑うロッズは、先へとバイクで走るヤズーの後を追うように追いかけていく。


「さて、僕らも行こうか」

「うん!」


カダージュがバイクに跨り、アズールがその後ろに乗る。

そしてバイクは、エンジン音と共に走り出し『忘らるる都』を後にした。





 


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