01
「サトミ〜〜!! 寂しかったぞ、と〜!」
「だああああ!! 五月蠅い、抱き付いてくんな」
クラウド達と途中で別れ、ヒーリンに戻ると涙を流していたであろうレノにガバッ抱き付かれるハメになったサトミ。
彼女は呆れて溜め息をついているようだ。
「無事でなによりだ」
「よく戻ってきてくれた、サトミ」
レノの後ろからそう声をかけたのは、ルードとルーファウスだ。
「カダージュ一味と仲良くなったようだな。どうだった?」
ルーファウスの問いに、サトミは頬を掻いて頭を悩んだ。
「アイツら、まだガキんちょなんだよな。親の温もりだとか、優しさだとか……よく分からねぇまま成長している。アイツらと和解はできてたと思う。だが、お互い敵同士なのは変わんねぇよ……早く、アイツらを安心できる場所まで"運んで"やりたい。これが、私の最後の仕事だ」
二カッと笑うサトミに、レノは彼女の頭をポンポンと叩いた。
「俺も手伝うぞ、と」
「私も手伝ってやりたいが、呼び出されていてな……」
「呼び出し? カダージュか?」
「ああ。大事な話があるらしい……」
ルーファウスの言葉に、サトミは察した。
─この世界の賭けをする、大きな取り引きだと……─
「ムリすんなよ。神羅の連中はムリするヤツばっかいるからな」
「そう言うサトミも、神羅カンパニーに属するタークスの一人だろ?」
「"元"だけどな。今となっては……」
悲しそうにため息をつくサトミは、磨道具の力を使い髪を赤色へと変えた。
「で、私達はこれからどうすれば良いんです?」
「現在、カダージュの一味の数人がメテオの記念碑にいる。数十人の子供達を人質にとってな……」
「子供達……? 忘らるる都にいた子供達か……」
「奴らは、あそこにジェノバの首があると掻い潜っているようだ。あれ以上大事にしないよう、止めに行ってきてくれ」
「了解、と」
こうして、サトミはレノとルードの二人と一緒にメテオ記念碑が置いてある広間へと向かった。
FF連載 SideA
〜ミッドガルと空中での戦い〜
広場に着くと、事態は思わぬ方向へと転がっていた。
カラスの頭蓋骨のような形をした犬が、住民を襲っているのだ。
いや、犬と呼べるほどの生物なのかは定かだが……
「うわ〜、めっさ大事になってんじゃん」
「さっさと首謀者見つけて止めるぞ、と」
レノに言われ、愛車から降りるサトミは真っ直ぐ歩いていく。
その先には、鎖で巻かれた記念碑を倒そうとしているヤズーとロッズの姿があった。
「何してるんだ?」
レノのこの一言に反応して、二人はサトミたちの方を向く。
(ここにいるのはヤズーとロッズだけ……アズールちゃんはカダージュと一緒か……)
「母さんは、ここなんだろ?」
ロッドを片手に持つレノに、勝ち誇ったかのようにヤズー後ろにある記念碑を指して言った。
「どうして?」
「この……なんだ? 記念碑……作ったのは神羅だ」
ルードの問いに答えたのはロッズ。
ロッズも、首を傾げながらだが記念碑を見ながら言った。
「だからここに隠したってか?」
「違う?」
ヤズーの問いにも、レノたちは苦笑いを浮かべながら答えた。
「さーな!」
「俺たちも聞いてないぞ、と」
不敵な笑みを浮かべながら、レノとルードは顔を合わせて言った。
その行為がわざとに見えて、サトミはクスリと笑った。