見つけた瞬間 思ったんだ。
彼女の声が聞きたい、彼女と話がしたい…
彼女のことが、知りたいって――
理由なんて分からないよ。でも、そう思った一番の決定打は……ボクが、彼女に惚れたということだ――
1000の言葉 U章
*白蘭視点*
ここはボクの自室。そしてベットには、見慣れない服を着た女の子が寝ている。
彼女はさっき仕事帰りに見つけたんだよね。裏通りの片隅で……とても綺麗に眠っていたんだ。そんな彼女に魅入って連れて帰るなんて………ボクはどうかしているのかな?
着ている服を見ると、とても変わっているなーって思う。外国の人かな? そう思いながら、彼女を連れてきたってワケ。近くにあった彼女の持ち物であろう荷物や携帯も一緒に……
そう思いながらボーっとしていると、彼女の瞳が開いた。
「あ、起きたー?」
声をかけると、彼女はゆっくり僕の方を向いた。澄んだ空のような瞳が、僕の顔を写す……
「ここは……?」
嗚呼、とても綺麗な声だな……
「ミルフィオーレのアジトの中」
どうしょう……白い肌に茶髪……すっごい僕好みなんだけど……
世の中には、こんな女の子がいるんだ。
「ミル……フィオー‥‥レ」
そう呟いたかと思うと、いきなり起き上がってボクを見る。
良く見ると、彼女……すごく驚いているようにも見えた。
「ん? どうしたの?」
ニッコリと笑って聞いているけど、心の中は結構自分でも驚くくらい早く鼓動が動いている。
自分でも分かるんだ……結構動揺しているってさ。
「ボスの……白蘭さん‥‥」
「!!」
彼女の呟きに、ボクは驚いた。当たり前だよね、初めて会った子の口から僕の名前が出てくるんだから……
一応、マフィア界でボクの名前を知らない人は誰もいないだろうけど……彼女はどう見ても一般人。表の活動をしているとはいえ、ごく限られた人でないと僕の顔と名前は知らないはずだ。
理由を聞こうとしたら、彼女の持ち物であろう携帯が鳴った。
「あの……」
「……こっちにも聞こえるように話してくれれば、別に話しても良いよ」
ボクがそう答えると、彼女は携帯を耳から話して電話に出た。
なるほど、それなら少し離れているボクにも声は届くだろう。
「も、もしもし?」
『レナ〜!! 良かった〜、電話が使えて〜!』
声からして女の子、この子の知り合いだろう……電話口から聞こえた『レナ』という名前は、多分目の前にいる子の名前。
ふーん、レナチャンか……
レナチャンは溜め息をつきながらすごく嬉しそうに話した。その笑顔も、綺麗だな……
「私も電話が使えて嬉しいよ。今、何処にいるの?」
『聞いて驚け! イタリアのボンゴレ本部だよ〜!!』
「は……?」
目の前にいる彼女は勿論、話を聞いていたボクも目が点になる。
ボンゴレ本部って……ここからすぐ行ける距離にある、ボクのファミリーと同等の力を持ったマフィア、だよね?
じゃあレナチャンは、ボンゴレのスパイ?
『ちなみにレナは何処にいるの?』
「えっと……ミルフィオーレのアジト、です」
ん〜〜。この会話を聴く限り、レナチャンはボンゴレのスパイってわけではなさそうだ。
じゃあ、レナチャンは一体何者?
『ウソー!! ってことは、白蘭や正チャンには会えたの? γとか野猿たちにも会えた?? ちょっと詳しく教えなさいよ〜!』
「ちょ、ちょっと待って!!」
ッ!! 何でボクや部下達の名前、レナチャンの友達(?)も知ってるの?
話を振られている当の本人も困り果ててるし。もう、よく分からなくなってきた……
「友近……」
呆れた様子のレナチャン。どうやら電話してきた子は、友近という名前の子らしい。
「ソンリンダネロハレリミクワサ、トメミギョルナラタラミゲ!」
「!?」
次に聞こえてきた言葉に、ボクは目を白黒させた。が、外国語? レナチャンって本当に不思議な子だ……
それが、一番最初に抱いた彼女の第一印象だった。
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