01
「いやはや! 流石ミズキ殿! 昨日の活躍、見事であった!」
「いえ、お役にたてて良かったです。では……」
あの戦から一日が過ぎ、ミズキは今回雇ってくれた城の殿たちに一礼して外へと出る。
歩くこと数分……道の先には、船上で再開した大好きな人の姿があった。
「よう、挨拶終わったのか?」
「うん。終わったよ」
「よし! んじゃ、行くか。大兄貴たちが待ってんだ」
「分かった、後で紹介してくれるんでしょ?」
「勿論!」
無事に再会を果たした蛇骨とミズキはというと、次の仕事を探しに別の城へ向かう為、行動を共にしていた。
道の途中で仲間と合流し、今は休憩をとる為近くの岩場に腰を下ろしているようだ。
「――もう5年も経ったんだね。蛇骨が私がいた村に来てすぐ出ていってから……」
「ん? もうそんなに経つのか」
頭をかきながら蛇骨は曖昧になっている記憶をたどっているようだ。
「まあ、その……その時は、色々世話になったよ」
「それは俺の台詞だっつーの。何も分からないでいた俺に、優しく接してくれたじゃないか」
「女嫌いで手こずったけどね。そんなこともあったし、どれも良い思い出ばかり」
「ああ……」
2人は寄り添うようにして、手を重ねた。
女嫌いの切り込み隊長と、男嫌いの女性雇われ兵。いつ、何処で、どうやって出会い……親しくなったのか。
それは、この様子を少し離れた場所から見ている他の仲間たちが共通して思う事だった。
2.恋人
「まさか、女嫌いの蛇骨が心を開くことができる女子がいるとは……少々驚きましたね。大兄貴」
離れているせいでどんな話で盛り上がっているのか分からない。だがそんな2人を、少し離れた場所から様子を見るように言ったお坊さんのような人は、七人隊の作戦参謀・練骨である。
「世界って本当に不思議だな、あんなに女を嫌っていた蛇骨をあんな顔にさせる女がいるくらいだからな……」
煉骨の横で、返事をするように話しているのは 七人隊首領・蛮骨。
「羨ましいよな〜! 蛇骨にあんな美人がいるんだからな〜!!」
「ぎしし?」
蛮骨の隣でベソベソと涙を流しているのは、毒使いの霧骨。そんな彼を、不思議そうに見ながら首を傾げているのは銀骨である。
「お〜い、もうそろそろ出発しようぜ〜!」
少し離れた丘の上から、皆に聞こえるように大きな声で話す男がいた。
彼は、多重人格を持つと言われる睡骨である。
今出ている人格は、凶悪な殺人鬼といわれる人格。何処ぞの某黒い殺しが趣味の運び屋と同じような雰囲気を漂わせている人物であるが、あまり深く突っ込まないでおくとしよう。
もう片方の人格については、後日話すことにしておくことにする。
「行こうミズキ、皆に置いて行かれねぇうちにな!」
「うん!」
先に城へと向かっている蛮骨たちを追いかけるように、二人は走っていった。
そんな二人を、違う影が一つ 追いかけていることを知らずに―――――