三章

 
私が気になる人を、ずっと前から好意を寄せている親友がいました。

ずっと仲良くしていたいけれど、このままじゃいけないのかな……



***



*秋奈Side*


「秋奈〜! 今日、いいかな?」


金曜日の放課後。バイトのことを考えながら荷物をまとめていると、後ろからなつみんが声をかけてくれた。

テストまで約一週間。姫条君から「バイト終わったらな」と声をかけられて別れた。

帰りなら大丈夫だと思いながら、私はいつものように返事を返した時だ。

少し控え目に話しかけてくるなつみん。少し違和感を覚える……


「いいよ。でも今日はバイトだから、途中までだよ?」

「オッケー!」


今思えば、なつみんと放課後一緒に帰るの久しぶりだなー。

いつも、用事があるからって言って断ってたし……ま、理由は勉強会をやってるから……なんだけどね。


「ねえ、話って何?」


学校近くの公園まで来た。

ここからなら、バイト先にも走れば間に合うかな。


「ねえ、秋奈ってさ……姫条のこと、どう思ってる?」

「どうって……?」

「ほら! 友達とか、気になる人だとか……」


焦りながら話すなつみんを気にしながら、私は顎に手を添える。

そんなこと、考えたこともなかったな……

最初は、カッコイイ人だなーって思ってて……でも浮気症だって知った時は呆れたっけ。

で、今回の事で……少しだけだけど、気になる……人に、なったのかな。


「そうだねー、良き勉強仲間! てところかな」


でも、なつみんが改まってそんなことを聞いてくるってことは……


「本当に? 本当の本当に??」

「もう、疑い深いなー。なつみんらしくないよ?」


やっぱり、なつみんも……


「〜〜〜〜……だああぁぁ! もう、こんなの私らしくない! 私、藤井奈津美は 姫条まどかが好き!! 誰にも渡さないんだからね!」

「え……」


急な宣言だった。私は、ただただなつみんを見つめることしかできない。

でも、心のどこかではこういう展開になることは薄々感じていたのかもしれない。


「誰にも、てことはアンタにもってことだからね! 以上!! ライバル宣言終わり!」

「なつみん……」

「これ以上、姫条と関わらないでね! じゃあね!」

「ちょ、なつみん!」


嵐が去るがごとく、なつみんは私を公園に残して帰って行ってしまった。

ぽつん、と公園に取り残された私は、頭の中が真っ白で……何も考えられなくなった。


「……どうしよう……」


あんな表情をするなつみんは初めてで、明日から普通どおりに接することができるか不安になってきた。

多分、私が姫条君と一緒にいることが多くなったから勘違いを起こしているのだろう。



―本当に?―



急に、私の脳裏に誰かの声が響いた。

本当に? これは勘違いなのだろうか?


「ッ! しまった、バイト遅刻しちゃうよ!!」


腕時計を見て叫んだ私は、立ち上がって走り出す。

遅刻すると、夏実ちゃんやマスターに心配かけちゃう!!





 


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