八章

新たな一歩を踏み出す為に

もう一度、話し合いをしよう。

そして、仲直りをしよう……



***



*秋奈Side*


「ぅわあ……」


鉛筆を片手に、私は目の前の解答用紙を見て小さく声を漏らした。

今日はテスト初日。傷も癒えて無事に復帰をしたの。

初日は国語のテスト。問題なくスムーズに解答用紙は埋まってゆく。

ただ、久しぶりに復帰したということもあってかなかなか身体が働いてくれない……

頭の中には答えが用意されているのに、手が上手く動いてくれないんだよ。

でも、そうも言ってられない。姫条君だって頑張っていたんだし、私だって……!

そう心に呟きながら、懸命に私は鉛筆を動かした。


―キーンコーンカーンコーン


そして鳴り響くテスト終了のチャイム。

い、一応クリアーしてホッとしている。


「秋奈〜!」


一息ついていると、なつみんが声をかけに来てくれた。


「テストどうだった?」

「まあ、一応……」

「って言えるくらいだから、多分満点だね」


真顔で言わないでよ……!

ただでさえ不安がいっぱいあるっていうのに!

大きくため息をつきながら、私は机に突っ伏す。


「あのさ、テスト終わったら話しようね」

「? 話なら今してるじゃん」

「とっても大事な話なんだ。だから、ね?」


手を合わせてウインクしている彼女を見て、私は思った。

多分、姫条君絡みの話なんだと。


「うん、分かった。その話が終わったらHonky Tonkに寄り道しようね」

「勿論!」


よし、そうと決まれば早くテストを打ち勝ち続けなければ……!

姫条君は、今回のテストに手ごたえを感じているのだろうか……?





*****





*姫条Side*


「すご……ッ」


俺はテストを終えると同時にそう口にした。

自分自身も驚いている。空白がなく、ほとんどの問題の答えが分かってしまうんや。

この調子で、次のテストも解答用紙が埋まっていくんやろうか。

そう思うと、かなり勉強も楽しいやないか。


「ったく、羨ましい奴め」


ドカッと背中を叩いてきたのは鈴鹿。あー、この様子やとコイツは赤点やな。


「そういう自分は勉強してへんのやろ。俺は素晴らしい家庭教師に付いてもらってたからな〜」

「その家庭教師は赤屍だろ? 色々噂されてるし、デレられてもいい迷惑だ」


んなッ! デレてへんって!


「でも、無事に復帰してきて良かったな」

「せやな」


まだ会ってはいない。それでも、周りから聞こえてくる話を耳にして大体分かっとるんや。

どうせ今日の帰りも一緒にあそこに行くし。


「さーてと、俺はこれから勉強デートやからお先にッ!」

「あ! なんて羨ましい奴!!」

「そう言うんやったら、はよう自分も好きな女作れっつーの!」


ま、秋奈ちゃん以上に可愛くて賢い子は探してもそう見つからんと思うけどな。

テスト期間中は一日一教科しかやらんから、午後は暇なんや。

せやから……


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