*Side Other*


多分、初恋なんだと思う。


引っ越しも多くて、友達らしい友達ができなかった日々がずっと続いて……


『これが私の運命なんだ』って思うことにしよう。仲間なんて存在はいらない。私には必要ない。


作ったところで、また別の地に行って……忘れ去られるだけなんだから……


そう思っていたのに、君は私の前に現れた。


熱い日差しに負けない優しい笑顔、海に負けない広い背中、私を引っ張ってくれる頼もしい腕……


君の些細な行動全てに、反応してしまう……


でも、惹かれてはいけない。君と私は住む世界が違いすぎる……


そう思っていたから、必要以上に近づこうとしなかった。


なのに、君は私の引いた線を飛び越えて手を差し出してきた。



『わんは、やーのことがしちゅんなぬーが。手放しちゃんくねーらん……』



君のその言葉で、私は泣きだしてしまったことを憶えてる。


好きになっちゃいけないって思っていたのに、いつの間にか私も君の事が好きになっていたんだ。


あの時の告白を聞いて、初めて自分の想いに気付いたよ……ちょっと情けなかった。


あの日から、私たちは付き合い始めた。周りの皆も、反対ではなく喜びの声を上げてくれて嬉しかった。とっても……


そうそう。付き合うことが決まって、真っ先に遠い地に住んでる友達に連絡を入れた。


『おめでとう!』と書かれたメールを読んで、再度倖せに満ちた。


だから、この想いを……倖せを……絶対に手放したくない。


私はそう思っているのに……


 



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