死神と死神 〜討伐屋と運び屋〜

こんにちは、僕は黒猫のイオリと言います。隣でコーヒーを飲んでいるのは、主の名前です。

最初に話しておきます。

名前は死神です。僕はそんな主の相方・助っ人のような立場にいます。

死神っていう時点で誰もが驚いているとは思うが、事実 存在しているんだ。

そして、そんな死神にも仕事と呼ばれるものがある。それは、魂を異界に運ぶこと。

死神は、魂を200個異界の神にあたる司令官に運べば 現世に生まれ変わることができるのです。

今、名前は101個の魂を異界に運びました。

残る魂は、あと99個。

だけど、死神は必ず守らなければならない決まり・ルールがある。

それは…現世に生きている人間と、関わり合いを持たないことなのだが……





死神と死神〜討伐屋と運び屋〜





「このコーヒー美味しいですね。」

「そうかい?そりゃ嬉しいね〜」

ここは、あまり人が出入りしない店。ホンキートンクと言う喫茶店だそうだ。

カウンターに座って、店主と普通に話している主の名前。本当に分かっているのか?死神は人間と関わっちゃいけないんだぞ!!

「猫ちゃんは相変わらずひねくれていますね、マスター」

「そのようだな…」

人間 気安く僕の頭を撫でるなよ…イライラするな〜…

「イオリはこの店に来ると、いつも機嫌が悪くなるみたいなの。良い所なのにね…」

おいおいおい;;本当に分かっているのか?名前…死神のルールってやつをさ…

─カランカランッ

「いらっしゃい。」

「あ 奪還屋さん!いらっしゃいませ!」

また来たよ;よく名前と話に来る奴らが!

そうだ、これも話しておいてやるよ。名前は、自分の姿を消すことができる。死神だから当然だな。

だが、どうして今日は消していないのか…

それは、最近始めた裏家業とやらのためなんだ。

その裏家業をやると、かなり魂が手に入れやすいそうだ。奴の言ってたことだから、あまり期待はしていなかったがな…

名前もちゃんとある、討伐屋っていうやつだ。決まった人間を殺すことができると、胸のデカい姉さんが言ってたな。

「あら!ちゃんと来てくれたのね!」

噂をしてれば…だな。仲介屋のヘヴンとか言ってたかな…

「お久しぶりです。仲介屋さん」

「まだ一人来てないけど、今回の仕事内容を先に話しておくわね」

仲介屋・ヘヴンの話によると、悪徳商をやって裏で名高い人が奪った宝箱の奪還だそうだ。

ウニ頭と金髪の奴らが宝箱を奪還して、いまいない運び屋に運ばせるとのこと。

名前の仕事はというと、その悪徳商をやっている人の暗殺だそうだ。

「仲介屋さん、話にでてた運び屋って誰ですか?」

─カランカランッ

目の前に出してくれたホットミルクを飲みながら、僕は話を聞いていると 気に食わない奴がやってきた。

一目見ただけで僕は固まったが…

「変わった少女がいますね。噂に聞く討伐屋さん…ですか?」

名前に裏家業を薦めた張本人、赤屍とかいう奴だ。

「久しぶり、と言えば良いのかしら。死神さん」

ニコッと綺麗に笑う名前。

「……おや、誰かと思ったら…一週間振りですね、白い死神さん」

赤屍も、答えるかのようにニコッと笑う。

ちなみに 名前が死神だと知っている奴は、赤屍だけで誰も知らない。

赤屍はどうやら、僕ら・死神と似ているトコロあるようだ。

名前も普通に接してるし、特に危害は加えないだろう。

「狽アの子が死神!?何かの間違いだよ!」

トテトテとタレ化して名前に駆け寄る銀次。

「本当の話よ、銀ちゃん」

ヘヴンの言葉に、イオリはビクリと反応した。

「裏家業の噂では、名前ちゃんは鎌で人を暗殺してるのよ。その姿を見た全ての人は言うわ。

白い服を着てるから、『白い死神』と ね───」

話を聞いて、イオリは胸を撫で下ろした。

「誰にも言ってないよ イオリ。心配性だなぁ。」

クスクスと微笑む名前。

ゴロゴロと喉を鳴らしながら、イオリは名前の膝に移る。

「行きましょう、依頼人が待ってるわ!」

ヘヴンと共に、名前たちは店を出て目的地へ向かった。








「ここよ。」

ヘヴンに案内された場所は、あまり使われていないであろう館だった。

「なるほど〜、ここに自分自ら閉じこもったって訳か。怖くなってな・・・」

「そういうこと、じゃ 私はこれで失礼させてもらうわ。今回の仕事の案内は、ココまでなのよ。」

そう言って、ヘヴンは皆の前から立ち去っていった。

「行きましょう。」

名前の言葉に答えるかのように、三人は一緒に館内に入っていった。

「殺しはダメです!赤屍さん!!」

「はいv」

念を押すように、銀次は赤屍にそう話すと ダダダっと逃げるように蛮の元へ向かった。

赤屍も、クスッと微笑むと 皆の後を追った。





















仕事も終盤にあたってきた頃、名前は館の奥にいる今回のターゲットと接触していた。

「お願いだ!命だけは…命だけは…!!」

怯える今回のターゲット。

「ごめんなさいね、あなたには死んでもらわないといけないのよ。本当にごめんなさい・・・」

そう言うと、名前は鎌を大きく振り下ろしてターゲットを殺した。

名前は、変わり者だ。

これから死ぬっていう人間に、涙を流して殺すのだから。

だから、名前はコッチの世界ではからかわれている。人間の世界で言えば、イジメって言えばいいのかな。

だけど、ココの世界で話しても悪いように言わない奴が現れてから 毎回ココに来るようになった。

もちろん、その奴ってのは赤屍のことである。

「行こう、イオリ。」

「うん…」

死体を前に、もう一度名前は涙を流して その場を立ち去った。





















その後は、何事も無かったように仕事は終わった。名前も無事に魂の回収が終わって、今帰り道である。

「ねぇ蛮ちゃん…」

冷や汗をタラタラと流しながら、銀次は蛮に言う。

「どうした?」

「あの二人は、何か似たようなオーラを感じるのです;;」

「それは分かる。妙に息が合ってたよな…」

よく赤屍と名前は、仕事が重なると言うこともあり 戦闘には共に欠点を補いながら闘っているのだ。



その頃こっちでは……



「お前なんか誰が認めるか!」

「おや、本格的に猫に嫌われてしまいましたね…」

「会った時から僕はお前が嫌いだ!」

後ろの二人に聞こえないくらい小さい声で話すイオリ。

「また次の仕事も、よろしくおねがいしますね。」

「えぇv」

「これ以上名前に近づくな!」

死神兼討伐屋の名前とイオリは、何事も無かったように今日という日を過ごしていた。

「なに言ってるのよ、居候させてもらっているんだからさ お礼も言いなさいよ。」

「僕は好きでこんな奴の家に住んでいるわけじゃない!!」

「おや、どういった理由なのですか?」

「名前に変なことしないように見張っているだけだ!!」




名前の相棒・イオリの大変な日々は、まだまだ続きそうである。




製作日:2006/1/28
4300HIT記念作品です!!フリーで書いた死神のお話は、個人的に好きだったので続編のように書かせていただきました。
東堂みくサマだけお持ち帰り可です!
こんな作品でよかったのでしょうか・・・;感想も待っております。



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