桜伝説

昔々、新宿で一番寿命が長い桜の木がありました。

その桜の木の下で愛を告白したカップルは必ず結ばれるという噂が、同じ時期に流れたが・・・

新しいマンションが建つということで、その桜の木は切り取られてしまったのでした。

「・・・で、その話がどうしたの?」

「もう!名前はロマンがないなぁ!」

新宿にあるとある喫茶店で、名前は友人とコーヒーを飲みながら先程の話を聞いていた。

本人は、あまり興味がないようだ。




桜伝説




「その桜の木の下で好きな人に告白すれば、結ばれるんだよ!?やってみたいと思わない!?」

名前は溜め息をついた。

「昔の話でしょう?それに私、好きな人は―――いないってば・・・」

「ウソつくなよv目撃情報があるんだからさ、名前が男と一緒に歩いてたってさ。」

「いつ?」

「一週間前の新宿近くの交差点で。」

一週間前・・・交差点・・・彼か・・・

「・・・その人とはそんな間柄じゃ・・・」

「じゃあ、どういう間柄?」

名前は黙ってしまった。

実は、名前は裏家業をしているのだ。

友人たちに話してもいいが、変な心配をかけさせたくないからだろう。

「その話がしたくて、わざわざ仕事中に呼んだんだね;;」

「えぇ!?仕事中だったの?!」

てっきり暇かと思っていたよ!と言いたそうな表情になる友人。

「じゃ、そろそろ戻らないと・・・仕事が詰まっちゃうから・・・」

「名前、ごめん!!」

手を合わせて謝る友人に、名前は友人の頭をポンポンと軽く叩いた。

「良いよ、気にしてないから。本当に暇な日に、またお茶に誘ってね。」

「うん!またね!!」

元気になった友人を見送ると、名前は走って仕事場所へと戻った。

































「あ、こんなところにいた。どうもすみませんでした;;」

「いえ、気にしてませんから。頭を上げてくれませんか?」

「でも!!」

裏新宿にある桜の木の下で、名前は目の前にいる男に謝っていた。

彼は赤屍蔵人、今回の名前の仕事のパートナーなのだが・・・

名前は、仕事中に友達に呼ばれて抜け出してしまい後半は彼だけに仕事を頼んでしまったのだ。

「そんなことより名前さん、見てください。」

「何ですか・・・?」

顔を上げて、赤屍が指した方を見ると 綺麗に咲いている桜の木がある。

「あの・・・桜の木がどうかしたのですか?」

「桜伝説、ご存知ですか?」

その言葉を聞いて、名前は先程友人から聞いた話を思い出した。

「ああ、その桜の木の下で告白したカップルは必ず結ばれるっていう話ですか。

でも、あれは架空のお話なんでしょう?」

「しかし、それは実在してるんですよ。そのお話に出てきている桜の木がこれですよ。」

名前は、驚きながら桜の木を見た。

桜は、いつものように美しい花を咲かせている。

「―――もしかして、赤屍さん・・・それを知ってて、わざわざ・・・」

この先の言葉を言おうとしたが、赤屍の唇によって口を塞がれた。

「クス 流石名前さんですね、勘はよく働くようで・・・」

「あ、あ、あ、あの・・・」

顔を真っ赤にして、後ろを向いた。

「好きですよ、名前さん。私とお付き合いしてください・・・」

「赤屍さん・・・この状況じゃ、断れないじゃないですか・・・」

赤屍が名前が好きなように、名前も秘かに赤屍に惹かれていたようだ。











桜の木の下で、愛を告白をしたカップルは必ず結ばれる。


その伝説は、貴女のすぐ近くにあるかもしれない―――――





*END*
製作日:2006/4/5
春っぽいものということで、こんな感じに出来上がりました。
リクエスト兼相互小説ということで宜しいでしょうかね;聖サマ。



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