短編 | ナノ
漢字一字連想編【陽】: カク

初めはターゲットが後見人に立っているというだけの立場だった。

あまりにアイスバーグの近くにいたために、いつの間にか重要な監視対象者になった。
近寄りすぎてはいけなかったのだ。
情を移すようなことがあってはならなかったのだ。
いつかは……殺さなければいけない少女なのだから。

もう、五年だ。
ウォーターセブンに来てから。船大工になってから。
………彼女を知ってから。

アイスバーグはまだコーギーに設計図を渡さない。
きっと、彼が設計図を政府に渡すことはないだろう。
計画を実行に移す日は近い。
そこに戸惑いも躊躇もない。

当たり前だ。
そのためだけに五年もの歳月をこの町で過ごしたのだから。
正義の名の元に。CP9の名の元に。
アイスバーグを殺してでも。
……彼女をこの手に掛けてでも……。


「カク!」

名前を呼ばれて我に返る。
脳裏に思い浮かべていた少女が、いつの間にか傍に立っていた。

「ぼんやりしてどうしたの?」

寝転がって休憩中のカクの顔を覗き込み、少女は無邪気に微笑んだ。
太陽を背にした少女はとても眩しくて………。



目が眩んで、全て持っていかれた


「ちょっと太陽が眩しかっただけじゃ」
「あはっ、そりゃ太陽は眩しいよ。変なカクー」

11/04/02

by群青三メートル手前

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