短編 | ナノ
漢字一字連想編【陽】: カク

ウェイトレスが運んできた、はちみつがたっぷり乗ったパンケーキが机の上に置かれると、大人しくホットミルクを飲んでいた少女の目が釘付けになる。
自分とは違って格別に甘いものが好きという訳ではない彼女だが、甘いものを見ると目がキラキラと輝きだすのは女子特有のものなのか。

「食べるか?」

「うん」

尋ねると、こくこくと微笑ましい仕草で頷くガレーラのお姫様。
ナイフでカットしたパンケーキを差し出すと、

「先にカクが食べなよ」

カクが注文したのなんだから、と首を振る。
どこまでも律儀な少女に苦笑を零し、カクはお言葉に甘えてパンケーキを食べた。
甘いはちみつの味にふわりと頬を緩める。
はちみつの甘さと言うのはなんだかホッとできる甘さだ。

再びナイフでパンケーキをカットし、少女の口元に差し出す。
少女は雛鳥のように口を開け、ぱくりとカクの持ったフォークに食いついた。
むぐむぐと口を動かして味わう少女の表情が、徐々に幸せそうな笑みを形取る。

「おいしい!」

そう言って、幸せそうにカクに微笑みかける少女。
釣られるようにカクの頬も緩んだ。



はちみつ味の笑顔




「俺たちの存在、完璧に忘れてるだろ!」
『いつものことだッポー』

11/04/02

by群青三メートル手前

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