短編 | ナノ
漢字一字連想編【陽】: カク

「すまん!」

今日は午前で仕事を終えて新しく出来たカフェに行く予定だったのだが、大工仕事が長引いてしまい約束の時間を大幅に過ぎてしまった。
慌ててガレーラカンパニー唯一の彫刻家である少女との待ち合わせ場所である休憩室へと急いだカク。
冬が苦手な少女に寒い思いをさせてしまったのではないかと駆け寄ると、少女は何故か部屋の隅で床に座り込んでいた。

「………どうしたんじゃ?」

声を掛けるが返事がない。
怒っているのだろうかと焦ったが、よく見ると少女は壁に頭を預けて眠っているようだ。
どうして椅子があるのに床に座っているのだろうかと疑問に思いながらも、あどけない寝顔に頬を緩める。
近付いてみて、どうして彼女がそんな所で寝ているのかが分かった。

「日溜まりじゃ」

部屋の中で唯一日が当たるその場所は、ほわりと暖かい。
カクが来るのが遅かったので、暖を求めて移動したのだろう。
起こそうと少女の肩に手を掛け……カクはその手をゆっくりと降ろす。
少女の寝顔があまりにも気持ち良さそうなので、起きるまで待とうと少女の隣に腰を降ろした。



昼休みになり、休憩室に足を踏み入れたパウリーとルッチが見つけたのは、日溜まりの中で身を寄せ合うように眠る二人の姿だった。



日溜まりで待ち合わせ




「何してんだ、この二人?」
『カクは待ち合わせしてるって言ってたッポー』
「いや、待ち合わせっつーか昼寝だろ」

11/04/02

by群青三メートル手前

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