短編 | ナノ
報告書




4月15日。
異常なし。






4月16日。
きょうは海ぞくが金をはらわないとあばれたのでせいばいしました。
ノエルが一番たくさんの海ぞくをたおしていました。
ノエルは小さくて細いけどとてもつよいです。






4月17日。
ターゲットにコーギーが接触。
常と同じく誰も部屋に近づかせない徹底振り。
そして、今回も『例の物』を渡さなかったようだ。
珈琲を淹れながらさり気なく探りを入れるが、いつものようにはぐらかされた。
どこぞの存在自体がセクハラ長官とは違い、珈琲を零すことはなかったのは流石だ。






4月18日。
酒場にターゲットの一番弟子と言われている男が来る。
ターゲットの動向を探ってみるが、ほとんどギャンブルの愚痴で終わった。
今日はフランキーが暴れていた。






4月19日。
異常なし。






4月20日。
きょうは仕事がおやすみだったので、ノエルといっしょにあそびに行きました。
近くにあたらしくペットショップができたので見にいきました。
たくさんの犬やねこやヤガラの赤ちゃんがいて、ノエルはかわいいとよろこんでいました。
でも、わしはノエルの方がかわいいと思います。






4月21日。
ターゲットがプッチに出張。
特に変わった人間と接触した様子はない。
昼に行ったカフェでターゲットがウェイトレスに珈琲を零された。
泣きそうになるウェイトレスに『気にすることはねェ』と優しい言葉を掛けるターゲット。
どこぞの存在自体がセクハラ長官とは違い、騒ぐことはなかったのは流石だ。






4月22日。
酒場にピッチ・鍛冶・滑車職の職長が来る。
ターゲットの動向を探ってみるが、ほとんど寝癖の悩みで終わった。
今日は客がほとんど来なかった。






4月23日。
異常なし。






4月24日。
昨日の後しまつできょうは朝から大さわぎでした。
一日たって船大工たちもようやく落ちついたようです。
だけど、まさかあんなことが起こるとは……。
でも、ノエルは楽しそうだったのでよかったです。






4月25日。
23日の後始末で今日も朝から忙しい。
今後はあの様なことが起こらないよう、気をつけたいものだ。
ターゲットはどことなく楽しそうだったが、あのような危険なことは二度としないでもらいたい。
………設計図が手に入る前に死んでもらっては困る。
どこぞの存在自体がセクハラ長官とは違い、パニックになることもなかったのは流石だ。






4月26日。
酒場にさしもの・コーカー・縫帆職の職長が来る。
ターゲットの動向を探ってみるが、ほとんど大声で叫ぶだけで終わった。
今日は23日の騒ぎで話が持ちきりだった。






「……………なんなのこれ?」

「見ての通り報告書ですよ。四人も報告書を書くと面倒臭いから(主に読むのが)交代で書けって長官が言ったんじゃないですか。つーか、カクの報告書、字が汚いわね」

長官室でウォーターセブンに潜入したルッチ達からの報告書を読んでいたスパンダムとアイリス。
もちろんアイリスは煙管をくわえ、ソファーの背もたれに片足を引っ掛けるといういつものスタイルだ。

「どこが報告書だァ!!カクに至ってはただの日記じゃねェか!つーか、ノエルって誰!?なに楽しそうにしてんの!?リア充爆破しろ!!そんで、カリファ!!いちいち俺を引き合いに出すなよ!!ただ俺を貶したいだけじゃねェか!!それから、ルッチ!!なんか4月23日にすごいことがあったみたいなんだけど!?それでも異常なしって、お前は報告書を書くの面倒臭いだけだろ!?後、ブルーノは頑張ってくれてありがとう!!」

一息で全ての不満を怒鳴り散らすと、スパンダムはゼェゼェと荒い呼吸のまま机に倒れこんだ。
そんなスパンダムの前にソファーから立ち上がったアイリスが、ぱちぱちと気のない拍手を送る。

「お疲れ様でーす」

「ったくよォ!何なんだよ、あいつら!!やる気がないつーか、計画の方向性が分かってないっつーか……」

「そんなことないですよ。ルッチ達は任務に命懸けてますから」

スパンダムの愚痴に、心外だとでも言うようにアイリスは首を振る。
それから、晴れやかな笑顔を向けた。


「ただ単に長官のことが大っ嫌いなだけです」


語尾にハートマークでもつきそうな可愛らしい声で答えるアイリス。

その日から、報告書はなくなったそうだ。



「あたしは長官が好きですからねー。小者代表なとこや負け犬っぽいところとか」

「え?それって、喜ぶところ?」

11/01/25

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