小咄 | ナノ




 色々100のお題
文章を短く出来るように挑戦
ちょっとずつ更新出来たらいいな

by追憶の苑


2017/01/01(トップ)


 47.踊りましょう
「パウリー大丈夫かなぁ?」
市民の声によって開催されたダンスパーティーだが、ダンスなどという優雅なものに縁のない船大工たちは既に瀕死の状態だ。
女性の手を握るなど言語道断のパウリーに至っては先程から姿が見えない。
なんでも器用にこなすカクは先ほどから引っ張りだこで話をする暇もない。
自分だって得意とは言えないまでも、アイスバーグやカリファと練習したのでそこそこは踊れるようになったのだが、なぜか誰からも誘われないし、誘おうと近寄っても逃げられてしまう。
もしかして嫌われてる?と落ち込みそうになった時、珍しく服装とシルクハットが一致した男に恭しく手を取られた。
『Shall We Dance?』
そのまま劇のワンシーンのように手の甲に口付けられて、ぴゃっと変な声が出た。
一言

2016/06/24(ルッチ)


 46.紅水晶
「恋愛運アップだって」
アクセサリーの露店を見つめていた女狐が、丸く磨かれたピンク色の石が連なった腕輪を指差して、んふふとおかしそうに笑う。
「万年フラれ野郎のジャブラに買ってあげましょうか?………あたっ!」
余計なお世話だとデコピンすると、女狐は赤くなった額を押さえて唇を尖らせる。
しかし、思い直したように
「ま、あたしがいるから必要ないわよね」
と小声で呟いた。
おい、聞こえてんぞ。
一言

2016/06/14(ジャブラ)


 45.一緒に
蔑まれても、傷つけられても。
裏切られても、殺されかけても。
………それでも一緒いたかったんだ。


2016/06/02(彫刻家)


 44.君の、となり
「え、うそでしょwwジャブラさん、またフラれたんッスかwwまじぱねぇッスわーwwww 」
「うるせェよ!つーか、その口調やめろ!!」
「だぁってさぁー、ここまでフラれ続きじゃ、あたしも尊敬を込めて草生やすしかないじゃない」
「お前、俺がフラれると本当に生き生きしてるよな………」
「んふふ、今ならルッチも倒せそうな気がする。よし、ちょっと行ってくるか!」
「馬鹿、止めとけっ!!」

そこに誰かがいたのなら。
きっと、この長すぎる初恋も終わることができたのに。
一言

2016/05/24(ジャブラ)


 43.ぬくもり
夜の冷気にさらされてひやりと冷たくなった布団の中で、隣に感じるぬくもりが優しく包んでくれる。
時おり、幼子をあやすかのようにリズムを取って背中を撫でる手のひら。

ただ幸せだけに守られていたあの頃を思い出した。


2016/05/17(アイスバーグ)


 42.初恋
「初恋ってさあ、十年続いても初恋っていうの?」
「終わらない限りは初恋なんじゃろ」
「燃費いいな、あたしの初恋!!」


2016/05/13(カク)


 41.始まりの予感
いつまで経っても配属された新人が顔を見せることはなく、苛立ちながら長官室に戻ったスパンダムの視界に入ったのは赤い髪の少女だった。
年の頃は17、8で、吊り上がった眦がキツい印象を与えるが顔立ち自体は美しい。
問題はソファーに寝転がって、片足を背もたれに引っ掻けるという怠惰な姿勢である。
唖然としているスパンダムに気付き、少女が視線を向ける。
「ちーっす、新人でーす。よろしくね、パンダ長官」
寝転がったままの上にタメ口。しかも、名前を間違えている。
この上ない無礼な挨拶に開いた口が塞がらなかった。


2016/05/10(スパンダム)


 40.鎮魂歌
「あたしたちが全滅とかしても長官は生き残るんでしょうね。どうせ、ここで指示だしてるだけの無能だし。まあ、前線に出てこられても足手纏いだから、後ろでぎゃーぎゃー騒いでるのが身の丈にあってますよね」
「え、なんで突然の怨み言?この間のちょっと厳しい任務のことまだ根に持ってんのか?」
「鎮魂歌ぐらい歌ってくださいね」
「は?」
「任務中に死ねば遺体なんか証拠隠滅とばかりにどっかに棄てられるでしょ。きっとお墓参りも出来ないだろうから、可愛い部下のために鎮魂歌ぐらいは歌ってくださいよ」
「………………そんな暇ねーよ」
「あ"っ?」
「だから、お前は絶対に俺のところに帰ってこい」
「………………かっこつけてんじゃねぇよ、パンダ」
「おいっ、そうくるかよ!?」
「でも、ま………ありがとうございます、長官」


2016/05/06(スパンダム)


 39.侵食
人の部屋のど真ん中を陣取って、ベルベットのクッションを抱き枕にぐーすかと昼寝をしている女狐。
もちろん、部屋の主であるジャブラの許可は得ていない。
図々しいその姿にジャブラの額に青筋が浮くが、任務から帰ったばかりで余計な体力を使いたくないので見て見ぬふりをする。
クッション以外にも増えている女狐の私物にも目を瞑る。
溜息をつきながら、女狐の横に寝転がって目を閉じた。
一言

2016/04/29(ジャブラ)


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