「ねぇねぇ、里香!優斗君告白されてたよ!」
「……は?」
私が教室に入ると、友達の芽衣がいきなりそんなことを言ってきた。
「だから!さっき見たんだけど、優斗君がね、裏庭で告白されてたの!後輩じゃないかな?」
「今朝?」
「うん、ついさっき」
「ふーん。」
「あれ、気にしないんだ?」
「別に、そろそろ彼女の一人や二人くらいできてもいいお年頃でしょ。」
「まぁ、優斗君かっこいいもんねー。」
「え?」
「たぶん里香は気づいてないと思うんだけど、優斗君めちゃくちゃ女子に人気あるんだよ。」
「へぇ……。」
「もたもたしてると取られちゃうよ?」
「いや、気にしないし。」

なんて言ったけど実は内心バクバクで、このまま優斗がほかの女の子と付き合ったらどうしよう、とか、そんなことばっかり考えていて、授業を聞くどころか、ノートも取っていなかった。

「優斗ー。」
「ん、どうした?」
「チョコ、もう今年からいらないよね。」
「え、なんで?」
「告白、されたんでしょ?」
「え?」
「よかったじゃない、こんなひねくれ者よりかわいい後輩と一緒にいる方が楽しいでしょ?」
「え、ちょっと、待て」
「早く後輩のとこ言ったら?」
「待てって言ってるだろ!」

いきなりの優斗の大声にびくっとしてしまう。
「俺がいつ告白されたなんか言った?いつ付き合うなんていった?推測だけで話進めるんじゃねぇよ…っ」
「え、どういうこと……?」
「今朝のあれは、明日の試合の対戦表貰ってただけなんだよ!」
「え、あ、ごめん……。」
「いや、俺もカッとなった。ごめん。」
「うん。」
「それに、俺好きな人いるし。」
「え。」
「お前だし。」
「え、えええええええええええ!?」
「うるせぇし。」
「え、どういうこと!?」

「だから、今年もチョコ、くれよな。その時に、返事待ってる。」

それだけいって、優斗は帰ってしまった。
そんな優斗の後姿を見る。
大きくなったなぁ、なんて思いながら。

「バレンタインデーなんて、爆発すればいいのに!」



End

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