「バレンタインデーなんて、爆発すればいいのに!」

カレンダーを眺めながら私は呟く。

「いいだろ、女子は女子からチョコレート貰えるんだから。」
「作るのが面倒くさい!」
「買えばいいじゃねぇか。」
「財布が冬を脱出できないじゃない!」
「なんだよ!お前はなんなんだよ!」

私は視線をカレンダーから隣にいた優斗へと移す。
何を怒ってるの、こいつ。

「なんなのって、女子高生じゃない。ピッチピチの!」
「どこがピッチピチなんだよ!聞く限り枯れた大地だよ!」
「何その例え。」

私はなぜか憤慨している優斗から再び視線をカレンダーに移す。

「男子はいいよねーチョコ作らなくていいじゃん。」
「貰えない年は最悪だけどな。」
「毎年あたしがあげてるじゃない。」
「そうだな、今年もくれるのか?」
「気が向けばね。」
「なんだそれ。」

私は優斗は俗に言う”幼馴染”ってやつで、家が隣だったこともあり、私達は幼い時から一緒だ。
高校生になった今でも同じ。
幼稚園も、小学校も、中学校も、高校も、ずっと一緒。
周りからは「双子みたいだね。」なんてずっと言われてきた。
いつからか忘れたけれど、私は気づいてしまったのだ。

優斗が、好きなんだと。

認めたくない、優斗はずっと幼馴染だ。なんて私の願いは届かず。片想いをしてもう何年になるだろうか。
何人かの人に告白はされたことある。
でも、そのたびに優斗の顔がちらついてしまい、私は今でもこの思いを捨て切れずにいた。

今年こそは、告白しよう。
なんて考え、何回してきただろうか。
こんな考え方だから、もちろん、告白なんかしたことがない。
そんな感じで、今年も過ごしていくのだろう。

優斗が帰った後、私は雑誌をぱらぱらめくりながら、適当にチョコのレシピを眺めていた。
自分も物好きだな、そんな事を思いながら。


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