04.花嫁さんからお手紙ついた。 『 フローラさんへ 御結婚おめでとうございます。 いまいち体調が優れなかったもので 足を運べず、ごめんなさい。 貴女たちの結婚式、それは美しかったと聞いています。 ー幸せなのね。 早速ですけど、新しい茶葉が手に入ったんです。観光がてら、いらっしゃいません? 日付は丁度来週の午後二時で。 なんだか、此方が一方的に話を進める様で、申し訳ないんだけど。 お返事、待ってますー 幸せ 貴女はしあわせなんですね。 それだけで、嬉しい ー天女の様な彼女は、皮肉や優越感から手紙を出した訳ではない もう、心の片隅にも、 愛した筈の姿は 見当たらない 見当たらないのだ 今日は主人が私用で出掛けている 籠って手紙を書くには都合が良い 長髪の括り方にすら彼女の几帳面さが表れる 端から見れば、恋文少女。 だって、熟れた林檎の頬 ないしは、論文研究生。 切羽詰まった表情、夥しい数の散乱する便箋だったもの(便箋、をレポート用紙に変えてしまえば、さして違和感もない) 返事を出そうにも、まず「Dear」が震えてしまう。読めない字を送りつけるなんて、まるで教養のない女だ。 夜を通り越してうっすらと光が差し込む ー気付かなかった。朝が訪れても、眠気は訪れる気配もない なんとか書き上げた手紙は、所々字が震えてはいるものの、客観的に見れば充分意味が伝わるもので、それどころか整っているとも思える 幼き頃から培ってきた教養が役に立つことを、初めて実感した。 好きなひとに手紙を書くってゆうのはねえ・・・緊張するんでしょうね(他人事) ← | → |