好き
世の中に溢れて尽きない言葉の中でこれ以上に想いが凝縮されたものをわたしは知り得ない
好き好き好き好き好き好き
何回言えば貴方に届きますか
別れの印は光る
「ビアンカ!」
ほわり、
そうね、効果音をつけるのならば
「なあに」
わたしがどれだけ真似っこしたところで優しい声音にならないのは知ってる
「プレゼントだよ」
指輪探しの帰りで寄り道して三十分以上待たせておいて口笛を吹かれるようなアプローチもせずプレゼントを渡すなんて貴方は変わらな過ぎて笑えてしまう
「もう、リュカ。女性への贈り物を単刀直入な言葉で済ませるなんてよろしくないわ」
「だってビアンカは喜んでくれる」
「喜べないわね」
「嘘だ」
顔を指差されてしまうとどうしようもない、苦笑いをつくる術を得ないわたしの顔はふにゃりと綻ぶ
「これ、は・・・」
自分の胸元に目をやれば、優しく掛けられたペンダント
「ありがとう。本当にお世話になっちゃったから、腕の良い職人さんにこっそり頼んでおいたんだ」
「気にしなくても、いいのに」
こんなペンダント似合う訳ないでしょ。リュカの方がしっくりくるかも知れない、着けてみて!あはは、冗談に聞こえる?わたしは嘘なんて吐かないのよ、年上の言うことが聞けないのかしら?
胸元のそれが光る
惨めになった
まるで死刑宣告ね
こんなきれいなものなんていらない
感謝の言葉なんてききたくない
わたしがずっとまっていても、一番ほしいものはわたしを見向きもしない
あっけなく去ってしまうなら、
その瞳でわたしを見詰めないで
「・・・ビアンカ?どうしたの」
鈴の様に涼しげな声が昔から変わらないのを知っているのはわたしだけ
押し殺し切れない、呻きが漏れる
左手の薬指は 光らない
こういう悲恋大好きです
ビアンカさんごめん(´ο`ゞ愛故に