愛しい

「ビアンカ？」

ねぇ　貴方は知らないでしょうけど
貴方に名前を呼ばれるだけで
あたし

「あ・・・。リュカ。」

平静を装うのに　精一杯なの

「どうしたの？」
「風にあたってるのよ。なんだか、眠れなくて・・・。」
「そっか。」

あたしの方に　これ以上　歩み寄らないで
ねぇ、駄目ったら

「ビアンカ・・・。何も心配することはない。
　だって僕は、君が好きだ。何よりも」

「莫迦ね。下手糞な嘘吐かないで。
　あたしは何も心配なんかしてないわ。貴方こそ、何も心配することない。」

「そんな冷たいこと、言わないで。」

「大丈夫だってば。あたしは一人でも、充分やってけるし。お父さんもいるしね」


大丈夫？あたしだって嘘吐き
へたくそな　嘘吐き




「じゃあ、何で泣いてるの」

「えっ」

「ビアンカ」

優しい声　優しい抱擁

体が　解凍されていくのを感じる

でも、心は？

ねぇ　貴方は知らないでしょうけど
貴方が嘘を吐く時
睫毛が
微かに震えているの

それとも貴方は解っているの？
あたしにばれないとでも思ってる？

莫迦ね

「君を、愛しているんだ。信じて貰えるまで、何べんでも言うよ」

何べんでも　あたしに繰り返される　嘘

何べんでも頬を伝う涙

貴方への　涙じゃない

同情なんて　されて　莫迦みたい


リュカの
あたしの

莫迦

その背中が

怖くて

微笑みが



やけに冷たく感じるのに

なのに



縋ろうとするの









あたしを　殺して

その抱きしめる右手で

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名シーンですねー!
こんな歪んだ発想しちゃﾀﾞﾒﾀﾞﾒよ☆