▽7



 「待ってよ…何で3人で私を狙うわけ…?私のデス数おかしいでしょ…」

 次の日。いつものように皆でナワバリバトルをしてたんだけど。

 「ってかそこの3人が一緒のチームになる確率高いでしょ!?そしてなにゆえ皆で私をボコるわけ!?」

 「何言ってんだよSちゃん。俺ら別にSちゃんばっか狙ったワケじゃねーし」

 「どちらかというと突っ込んできたのよね、Sちゃんが」

 「ご、ごめんねSちゃん…!まさか、あんな所にいるなんて思わなくて…。塗ろうとしたら…」

 あっ満場一致で私が戦犯だそうです。マジか。

 今日も今日とて私は戦犯。これも先代から受け継いだものだったとしたら…泣くよ。多分。


 ☆


 いつものように朝からバトルをして、バトルをするからお昼なんてあっという間。


 現在お昼休憩の真っ只中である。

 「ねぇ…皆」

 昨日Lくん話してみれば、と言われたこともあって、私は聞いてみることにした。

 「私が私じゃない、って言ったら、どう思う?」

 「…哲学か何か」

 Nちゃんの反応は至極当然。先代の話はLくんにしかしてないもの。

 「…なんていうかね、私の他にもうーん私がいて…本来いるべきはずの私と入れ替わってたりしたら…」

 ガタン、と大きな音がした。

 音のした方向を見ると、持っていたスピナーを落としたHくんの姿。
 その表情は、なぜか―ひどく青ざめていた。

 「…ど、どうしたの…?」

 様子の可笑しいHくんに声を掛ける。

 「…やっぱり…」

 「えっ?」

 「…や、やっぱり…君はSちゃんじゃないんだね…」

 震える声でそう言ったのが聞こえた。

 「おいH、それどういう意味―」

 「Sちゃんはっ!?」

 Lくんの声を遮ってHくんが叫んだ。

 叫ぶなんて初めて見た。

 「Sちゃんは、無事なんだよね…っ!?どこかにいるんだよねっ!?」

 Hくんが私の肩を掴む。
 必死そうな、今にも泣きそうな表情で。

 「だって僕、約束…した…も…」

 手が離れる。

 Hくんが目の前から消えた。

 「Hくん…!?」

 倒れ込んでしまった彼に触ろうとしたけど。

 私は、触れる事ができずにいた。







prevnext


back

- ナノ -