右後方からプライム。後ろにスシコラ。
届かない。
左にホットブラスター。届く。
構える、撃つ。
―外した。
相変わらず。倒すのが速い。
「...フェルくん」
彼がいた。
☆
「おつかれさま、ナコちゃん」
彼が笑う。この時間は好き。
だけど。
「もう一戦」
「えっ?」
「もう一戦、やりたいわ」
気に入らない。失敗ばかりで。
「...いいよ。やろうか」
彼は断らない。アタシはずるい。
困り顔で笑う度に、そう思うの。
☆
構えて、撃って。移動。また撃って、移動。
良いチャージャーは、動かない。
だけど、動いて合わせるのも、良いチャージャー。
そう言ってくれた。
彼がいた。前に出過ぎかしら。
黒い瞳。
綺麗。毎回思う。
「―任せた」
胸が高鳴る。
「嬉しい」
つい。こぼれる。
彼が止まった。アタシを見てる。
どうしたの。別に。たまにあるやり取り。
スペシャルを使うべきだったかしら。
課題は多い。
☆
「どうだった?」
彼が聞く。口を開く。
「満足したわ」
「よかった」
彼が笑う。今度は本当。
困らせたくない。
けど。中々上手くいかない。チャージャーと同じね。
だから、彼が笑って安心する。
「...あ、あのさ。この後...」
表情が変わる。不安。前まで思ってた。
最近分かってきた。彼を見る。
黒い瞳が揺れる。赤い頬。
好きだから、こうなるの。
言い淀む。何でもない。聞けなかった。
撫でられる。頬がくすぐったい。
どうしたの。見られると、恥ずかしい。
そう言われた。
だからアタシも。そうって返す。
しばらくして。
もう少し、このままでいたい。
彼が笑う。
アタシも。だから、そうって返すの。