3回目の記念日
我慢できない!
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「ねぇ神威!」
「何だい」
「今日は何日?」
「12日だったかなぁ」
そう、今日は12日。私と神威が付き合いはじめて丁度3年目である。最初は二人でそわそわした毎月の記念日も、今となってはたまに思い出すだけだ。それでも毎年1回しか訪れない同じ月、同じ日はちゃんとお祝いしてきた。だから今年もと思い、私は彼の自室を訪れソファで寛ぐ神威の隣に腰掛け質問を続けた。どうにか思い出してほしい…。
「神威、今日はあの日だよ!」
「あの日?」
「あの日」
うーんと眉間にシワを寄せながら唸っているが、思い当たらないようで…。まさか、本当に忘れてしまったのかな。
そして彼は言ったのである。
「まぁ思い出せないってことは、そんなに大したことじゃないよね」
その言葉が胸の奥の深く深くにずうぅんとのしかかった。
そりゃ、彼はあまり記念日とか気にするような人じゃないしわたしも忘れるときがある。でも今日だけは、今日だけは…。
彼は私にだけしか見せない優しい笑みを浮かべてこちらを見るが、私は足元の無機質な床しか視界を埋め尽くすことしかできないでいた。「めい?」と声をかけてくれるけれども、今口を開いたら目からぽろぽろと雫か落ちそうだ。
「なぁなんだったんだよ。そんな大事なことなの?」
彼はトイレに行ってくるといって席をはずした。
私は先ほどの神威の言葉がで脳内がぐるぐるとループし、3回目の記念日を大切にしたかったのは私だけなんだということを理解した。いつもは忙しくても私に時間を割いてくれる彼に感謝してプレゼントも用意した。でも、どれもこれもなんだか意味のないように感じてきた。
私は涙をひとつ落として彼の部屋から出ていった。
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